彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)






「そ、それとこれとは話が別だ!男の世界で考えれば、鳴海瑠華は不適切で~!」

「俺、『漢』だけど、わかんねーわ!つーか、オメーのは単なる好き嫌いだろう!?それを男の世界だなんだって、もっともらしい理由作ってほざいてんじゃねぇーよ!!」

「っ!?」





とたんに黙り込む速水。

その態度で、瑠華さんは悪くないとわかる。

同時に、私の頬に怒りの涙が流れる。





「答えろ!!」

「・・・・だれが泣き虫相手にまともに話すかよ・・・・!?」

「良い自白をありがとう。」





瑠華さんの身の潔白を証明する言葉に、涙が止まる。

ひどく冷静になれた。





「その答えがすべてだな!!元カレ共と同様のクズ共めっ!!2度と、特服姿で俺らの前に出てくるな!!」


「ごめんなさい!!!」





そこで悲鳴のような声が上がる。





「あ、亜都子!?」

「ごめんなさい!!私が悪いんです!!ごめんなさい!ごめんなさい、瑠華姉!私!な、なにも知らなくて―――――――!!」

「瑠華さん、亜都子ちゃんのこと許してあげて下さい。」

「チョコちゃん!?」

「あなたがそう言わなくても、この子は悪くないわ。」

「もちろん、わかってますよ。」

「亜都子ちゃんは、すごく良い子です。僕は、あんな子は初めて見ました。」





ニッコリと笑みを浮かべながら、闘邪駆鬼総長の今の彼女に言った。







「悪意なく、人をおとしいれることのできる実物を見たのは君が初めてだ。」

「え・・・・?」

「お前は、悪意がない分、悪質でもある。亜都子ちゃん~?」

「な・・・なにを・・・?」

「よかったね、亜都子ちゃん。」

「え?」

「誘拐された亜都子ちゃんを助けるために鳴海瑠華が集団レイプされたおかげで、亜都子ちゃんは神城龍志の彼女になれたんだもんね。」

「え!?」

「な!?」

「何言ってるのチョコちゃん!?」

「ははは!いいんだよ~亜都子ちゃん、意味がわからなくても♪」





瑠華さんの問いを無視して、優しく亜都子ちゃんに語り掛け続ける。

天然な美少女に、『悪役』としてわざと悪意のある言葉をぶつけた。