彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)






「瑠華さん、大丈夫ですか!!?」

「あ、あたしより、あっちゃんを―――――――・・・・!」

「そうだ、亜都子!!?」

「亜都子っ!!」





私が瑠華さんの安否を気遣う声をあげれば、神城さん達も亜都子ちゃんにかけよっていく。

でも、私にはそんなことどうでもいい。





「る、瑠華さん、瑠華さん!?無事ですか!!?」

「え、ええ・・・。」





私が羽織らせた特服に身をくるんだ美女が、何度も首を縦に振る。

その顔には、明らかな殴られたアトがあった。

顔だけじゃない。

腕にも、足にも、擦り傷や青あざがついていた。

特服で見え隠れする場所も、ところに暴行のアトが―――――――――――





(こんなの、全然、大丈夫じゃ――――――――――――!!!)


「あたしは、大丈夫よ・・・」

「違う!!!」

「ぼ、坊や?」

「違う違う違う!!!」





私を見て、瑠華さんが目を丸くする。





(どうして・・・!?)


「・・・どうして、坊やが泣くの・・・?」





瑠華さんの言葉で、自分が泣いているとわかった。でも、それどころじゃない。






「どうして大丈夫だなんて言うの!!!?」

(大丈夫とか違う!違う違う違う!違う!)

「大丈夫なわけないんだよ!!」


「坊や!?」

「襲われて大丈夫なわけがないよっ!!」

「ぼ・・・!」


「うえぇぇぇーん!!」






私でも、瑠華さんでもない声が泣く。





「亜都子ちゃん。」

「う、うえええ!うええええ!大丈夫じゃないよっ!怖かったよぉ・・・!」

「――――亜都子!」

「亜都子ぉ!!!」





ボロボロ泣く美少女を、兄と恋人が抱きしめる。




「うっ・・・・!」




その姿に、ますます涙が流れる。





「な、泣かないでよ、坊や!坊やがひどい目にあったんじゃないのよ!?あっちゃんは無事だし、あたしも平気!やられてないのよ?」

「それが違うんだよっ!!」

「え?」

「やられてないとかそんな問題じゃない!!怖い思いをしたのは変わりないでしょう!!?」

「坊や・・・!?」

「瑠華さんが、平気じゃないのに我慢するのがイヤなんだっ!!」

「ッ―――――――――!!」





そう叫べば、瑠華さんが片手で顔を覆う。

見てられなくて背を向けたら、永山グレイトと目があった。