ひざから崩れ落ちる永山の身体を蹴り飛ばす。
ゲシッ!!
「ぐう!?」
バンッ!
勢いよく壁にたたきつけられた永山に足早に近づく。
利き足をあげ、顔面を蹴り飛ばした。
ドスッ!!
「ぐあ!?」
そのまま床に寝ころびかけたので、前髪をつかんで固定する。
手で頭を抑えつけたまま、何度も足で踏んだ。
ドスドスドスドスドス!!
何度も何度も何度も。
「う!ぎゃ!が!や!や!や、め!ぐう!」」
こいつは汚い奴だ。
汚い汚い汚い汚い汚い!
ゲシゲシゲシゲシゲシ!!
「ぐう!げえ!うう!痛!痛い!ひい!」
制裁しなきゃ。
粛清しなきゃ。
処理しなきゃ。
処分しなきゃ。
ドスドスドスドスドス!!ヒュン、バシ!ヒュン、バシ!ゲシゲシゲシゲシゲシ!!
だから、けって、けって、時々トンファーで叩いて、けりまくった。
無心で、攻撃を続けた。
「だめぇ!!!」
そんな誰かが私に、背後から抱き着く。
「殺しちゃ、ダメ!!」
殺す?誰を?
「永山なんか殺しても、意味ない!あなたが殺しちゃダメ!」
永山を誰が殺すの?
「人殺しにならないで、坊や!!!」
その声、その呼び方。
「瑠華さん?」
「そう!!そうよ・・・!!」
振り返れば、泣きそうな顔で私にしがみつく美女がいた。
「・・・・僕に言ってるの・・・・?」
「そうよっ!!そんなゴミクズ殺したら、あなたが汚れる!殺しちゃダメ!!」
「え?殺したらって・・・・・・・僕、人殺しなんかしませんよ?」
「!?て、手元を見なさい!自分の手元を!!」
「手元?」
言われるがまま、自分の手元を見る。
両手にはめた手袋が、妙にべったり肌にくっついてる。
白かったはずが、赤くなっている。
赤い両手で持っている『それ』に目をやる。
そこには、鼻から血と汁を流す汚い泣き顔の男がいた。
「うわ、きったなぁ~」
パッ!
「うえぶ!」
ドサ!
手を離せば、その場に男がうずくまる。
「うっ、うっ、うう~!」
呻く男を眺めていたら、自分が冷静になってくるのがわかった。
「ああ・・・・・殺しかけてたんだ・・・」
「坊や・・・・・!?」
他人事みたいにつぶやけば、震える声がした。
身体に伝わる振動をたどって見れば、青い顔の瑠華さんと目が合う。
(ヒドイ顔・・・私が渡した特服の下は裸で・・・・え?裸?)
それで我に返った。


