彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




ひざから崩れ落ちる永山の身体を蹴り飛ばす。





ゲシッ!!

「ぐう!?」

バンッ!





勢いよく壁にたたきつけられた永山に足早に近づく。

利き足をあげ、顔面を蹴り飛ばした。





ドスッ!!

「ぐあ!?」





そのまま床に寝ころびかけたので、前髪をつかんで固定する。

手で頭を抑えつけたまま、何度も足で踏んだ。





ドスドスドスドスドス!!





何度も何度も何度も。





「う!ぎゃ!が!や!や!や、め!ぐう!」」





こいつは汚い奴だ。

汚い汚い汚い汚い汚い!





ゲシゲシゲシゲシゲシ!!

「ぐう!げえ!うう!痛!痛い!ひい!」





制裁しなきゃ。

粛清しなきゃ。

処理しなきゃ。

処分しなきゃ。





ドスドスドスドスドス!!ヒュン、バシ!ヒュン、バシ!ゲシゲシゲシゲシゲシ!!





だから、けって、けって、時々トンファーで叩いて、けりまくった。

無心で、攻撃を続けた。







「だめぇ!!!」







そんな誰かが私に、背後から抱き着く。







「殺しちゃ、ダメ!!」






殺す?誰を?







「永山なんか殺しても、意味ない!あなたが殺しちゃダメ!」


永山を誰が殺すの?


「人殺しにならないで、坊や!!!」







その声、その呼び方。






「瑠華さん?」

「そう!!そうよ・・・!!」







振り返れば、泣きそうな顔で私にしがみつく美女がいた。







「・・・・僕に言ってるの・・・・?」

「そうよっ!!そんなゴミクズ殺したら、あなたが汚れる!殺しちゃダメ!!」

「え?殺したらって・・・・・・・僕、人殺しなんかしませんよ?」

「!?て、手元を見なさい!自分の手元を!!」

「手元?」







言われるがまま、自分の手元を見る。

両手にはめた手袋が、妙にべったり肌にくっついてる。

白かったはずが、赤くなっている。

赤い両手で持っている『それ』に目をやる。

そこには、鼻から血と汁を流す汚い泣き顔の男がいた。






「うわ、きったなぁ~」

パッ!

「うえぶ!」

ドサ!






手を離せば、その場に男がうずくまる。





「うっ、うっ、うう~!」





呻く男を眺めていたら、自分が冷静になってくるのがわかった。






「ああ・・・・・殺しかけてたんだ・・・」

「坊や・・・・・!?」






他人事みたいにつぶやけば、震える声がした。

身体に伝わる振動をたどって見れば、青い顔の瑠華さんと目が合う。



(ヒドイ顔・・・私が渡した特服の下は裸で・・・・え?裸?)



それで我に返った。