ゴキ!
「ひっ!?」
瑠華さんにくっつく5人のうちの1人をトンファーで頭を殴る。
ボキッ!
殴り終わった動きから2人目のアゴを叩く。
「がっ!?」
ひるんだ3人目の足を踏み、動きを止めたところで、反対の手のトンファーでノドをついた。
ドス!
「ぐえ!?」
「な、なん!?」
ドドドド!
「ぶ!ぶ!ぶ!ぶぐ!?」
なにかしゃべった4人目の顔面を、トンファーで往復連打。
「ひい!」
顔を引きつらせ、瑠華さんから離れた、背を向けて逃げる五人目の背中にタックルする。
ドン!!
「うわ!?」
突き飛ばして転んだところを、髪をつかんで仰向けにし、みぞおちにトンファーを打ち込んだ。
ドフッ!
「おえぇえ!!」
「ぼ、坊や・・・!?」
そう言って私を呼ぶ美女に、私は特服を脱いで素早くその身体にかけた。
「り、凛道蓮!?テメーなんでここがわかった!?」
「凛道さん!」
慌てる半裸の永山グレイトの横には、下着姿の亜都子ちゃんがいた。
「永山グレイト・・・亜都子ちゃんまでも、こんなことを・・・?」
「亜都子!!!」
「亜都子ぉぉぉ!!!!」
「お兄ちゃん!!龍ちゃん!!」
「うるせぇ動くな!動くと速水亜都子を―――――――――!!」
「――――――――――――――――――お前を殺す。」
亜都子ちゃんにナイフを向ける永山に、そんな声がかけられた。
腹のそこから絞り出した声。
それが私の声だとわかった時、身を低くくし、永山グレイトに直進した。
ガッ!
ナイフを持つ手首をつかむ。
その手をそのまま指先へとスライディングして―――
ゴキ!
「ギャッ!?」
小指を曲げる。
折った。
カチャーン!
「ぎゃああああああああ!!」
それでグレイトの手から、するりとナイフが落ちる。
そのままグレイトの腕をたたんだ。
曲がらない方向へたたみこんだ。
ボキボキボキ!!
「あぎゃあああああああああああああああああ!!!」
自分でこぶしを鳴らす時とは違った、重い音がした。
そうだよね。
指の骨と腕の骨だと、太さ違うもんね。
音も違ってくるよね。


