彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



倉庫の中は薄暗く、それが荷物が積まれたことで出来た影によるものだとわかる。

中身がなにかはわからないが、人が通れるだけの道幅(みちはば)は作ってあった。

追いついた時、声がした。





「やめてー!!もうやめてよ!!」

「亜都子ちゃん!!?」

「「亜都子!!!」」





闘邪駆鬼の2人が探している美少女の声。





「亜都子・・・!!」

「亜都子ぉぉぉ!!!」





神城さんが美涼を盾にして、引きずるように走る。

それに並ぶようにして速水くんも走る。

私も彼らと共に進む。

声のした方に向かえば、階段があった。

見上げれば、二階スペースがあり、そこについた窓から明かりのもれていた。





「亜都子ぉ!!」





速水くんが神城さん達を抜かして行く。





「あそこか!?」





神城さんが美涼の胸ぐらをつかんで聞く。





「そうです。すぐには入れ――――――」

バキ!

「うぐ!」





美涼の話を最後まで聞くことなく、神城さんは美涼を殴り飛ばす。

美涼が倒れるのと同時に神城さんも動く。

階段をかけ上がる速水くんと神城さん。

私も追いかけようと思ったが―――――――――・・・・・





(放置でいいかな?縛った方がいい?)





美涼を見て迷う。

ふと、視界に美涼が使っていたスマホが落ちているのを見つける。





(奪っておいた方がいい?てか、手袋でつっかえ棒したのはまずかったかな?もし、このまま美涼が逃げたら、スマホなしでも出入り口から逃げられるじゃん!でも、このカードキーの貸出記録とか、あった方が逮捕に有利かもしれない。)





一瞬の間に、そんな考えが頭の中でまとまる。





(えーい、なるようにしかならないし、主犯は永山グレイトよ!)





そう決めて、身をかがめる。





「いやあーだれか助けて!!」





スマホを拾ったのと、亜都子ちゃんの二度目の悲鳴を聞いたのは同時だった。