倉庫の中は薄暗く、それが荷物が積まれたことで出来た影によるものだとわかる。
中身がなにかはわからないが、人が通れるだけの道幅(みちはば)は作ってあった。
追いついた時、声がした。
「やめてー!!もうやめてよ!!」
「亜都子ちゃん!!?」
「「亜都子!!!」」
闘邪駆鬼の2人が探している美少女の声。
「亜都子・・・!!」
「亜都子ぉぉぉ!!!」
神城さんが美涼を盾にして、引きずるように走る。
それに並ぶようにして速水くんも走る。
私も彼らと共に進む。
声のした方に向かえば、階段があった。
見上げれば、二階スペースがあり、そこについた窓から明かりのもれていた。
「亜都子ぉ!!」
速水くんが神城さん達を抜かして行く。
「あそこか!?」
神城さんが美涼の胸ぐらをつかんで聞く。
「そうです。すぐには入れ――――――」
バキ!
「うぐ!」
美涼の話を最後まで聞くことなく、神城さんは美涼を殴り飛ばす。
美涼が倒れるのと同時に神城さんも動く。
階段をかけ上がる速水くんと神城さん。
私も追いかけようと思ったが―――――――――・・・・・
(放置でいいかな?縛った方がいい?)
美涼を見て迷う。
ふと、視界に美涼が使っていたスマホが落ちているのを見つける。
(奪っておいた方がいい?てか、手袋でつっかえ棒したのはまずかったかな?もし、このまま美涼が逃げたら、スマホなしでも出入り口から逃げられるじゃん!でも、このカードキーの貸出記録とか、あった方が逮捕に有利かもしれない。)
一瞬の間に、そんな考えが頭の中でまとまる。
(えーい、なるようにしかならないし、主犯は永山グレイトよ!)
そう決めて、身をかがめる。
「いやあーだれか助けて!!」
スマホを拾ったのと、亜都子ちゃんの二度目の悲鳴を聞いたのは同時だった。


