「卑怯な!」

(なんてやつなの!?)

「瑠華さんばかりか、亜都子ちゃんまでさらうなんて!!」

(クズ極まりないな!?)

「なに!?瑠華もさらわれたのか!?」

「そうなんです!今夜10時までに指定された場所に――――――――――!!」


〈神城龍志を倒してこいよ、凛道蓮!!〉


「「「なに!?」」」




永山偉人の言い草に、私と神城さんと速水君の声が重なる。





〈10時まで時間がある!勝ってから迎えに来いよ~!?〉

「なに言ってんだ!?その言い方だと、どちらか1人しか助けられないみたいじゃないか!?」

「テメー・・・・はなから2人を返す気ないんだろう!?」

〈1人は返してやるよ!!どっちになるかはお前ら次第だけどな!ギャハハハハ~!!〉





信用できない男が、信用できない顔で笑う。





〈女は俺といるんだ。少しでも俺が見てる前で馬鹿な真似したら、女達がどうなっても知らないぜ〉

「く・・・!」

(不利だ!)





相手は人質と共にとおくにいながら私達の戦いを画面を通して見てる。

私達がケンカをやめれば、危害を加えられる。





(助けられるのは、瑠華さんか亜都子ちゃんの一人だけ。)

「神代さん!」

「龍志・・・!!」

「―――――!」





無言で攻めてくる神城さん。

こぶしやけりをかわしながら、周囲の状況を確認する。




「やれやれ!」

「戦え凛道!」




永山の仲間は、みんなで十人ぐらい。

全員スマホやタブレットを向けながら私達を撮影してる。

その後ろで突っ立って動かないのが『闘邪駆鬼(とうじゃくき)』のメンバーで、こっちも同じくらいの人数だった。

借金で動いてるのはその2倍ぐらいいる。



(動きにくい。)



見られながら、監視されながら戦うなんて・・・!





(永山にさえ、見られてなきゃ!!)





いっそ、映像を切ってしまおうか?





(充電がなくなるまで待ってみる?)



「交換の電池はいくらでもあるからな――――――――!?」





私の考えを見透かしたようにいうレフリー。





「・・・そういうことですか。」

(準備が良い。)





ならば一か八かで――――――――




永山が映る画面に背を向けて立つ。




「はぁ!!」




両手のこぶしで連打を繰り出す。





「―――――――やっとやる気になったかい!?4代目さん!?」






私のこぶしを余裕で防ぐ神城さん。

打ち払われるたびに、私は後ろへ後退する。