「瑞希お兄ちゃん!」
「聞こえたよ。吉野原だな?」
「はい!お願いします!」
給油が終わったバイクの、タンクの口を〆ながら言う瑞希お兄ちゃんに首を縦に振る私。
「修理代、きっちり払わせてやる!!」
「慰謝料ももらえよ、瑞希~」
話し終わったらしい烈司さんも、スマホをしまいながら言う。
全員がバイクに乗ろうとしたその時だった。
パッパッパラ!
突然、爆音が響いた。
「おい!」
「わかってる。」
それで即座に、身構える瑞希お兄ちゃんと烈司さん。
「どうしたんですか!?」
「来るぞ、凛。」
「え!?」
「両方から来る。」
その言葉通り、ガソリンスタンドの入口と出口の両方の道から複数のバイク。
乗っているのは、明らかにヤンキー達。
パッパッパラ!
「瑞希お兄ちゃん、これは!?」
バイクは次々と、私達を取り囲みながら距離をつめてくる。
パッパッパラララ!
「来たぞ、凛、烈司!」
瑞希お兄ちゃんの声に会わせて、単車が一台、私達に突っ込んできた。
「わっ!?」
「この!」
よけることは出来たけど――――――――――
パッパッパラ!
パッパッパラ!
パッパッパラ!
「また来ました!」
続々と、私達に向かってくるヤンキー集団。
「オラ死ね!」
木刀やゴルフクラブやバットを振り回しながら、突っ込んできた
「わー!?」
「こんの~!」
「くそがっ!」
よけるのに精一杯な私に対し、ケンカの先輩二人は違った。
「あぶねぇだろうコラ!?」
ドカ!
「ぎゃ!?」
木刀をよけると、ハイキックして単車ごと倒す瑞希お兄ちゃんと、
「泣かすぞボケ!」
バキ!
「ぐあ!」
アッパーを入れて、運転手だけ飛ばす烈司さん。
「お二人とも、さすがです!」
「凛、感心してる場合か!」
「凛たんそっち行ったぞ!」
「わかりました。」
「死ね凛道蓮!」
「お断りします!」
ブーン!!!
バットが顔を横切る。
敵とすれちがうその瞬間を私は狙った。
「えい!」
シュー!
「ぐああああ!?目がー!!」
日焼け止めスプレー発射。
ガッシャーン!
「わーい、勝った♪」
〔★良い子はマネしてはいけません★〕


