彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「瑞希お兄ちゃん!」

「聞こえたよ。吉野原だな?」

「はい!お願いします!」



給油が終わったバイクの、タンクの口を〆ながら言う瑞希お兄ちゃんに首を縦に振る私。



「修理代、きっちり払わせてやる!!」

「慰謝料ももらえよ、瑞希~」



話し終わったらしい烈司さんも、スマホをしまいながら言う。

全員がバイクに乗ろうとしたその時だった。





パッパッパラ!





突然、爆音が響いた。




「おい!」

「わかってる。」




それで即座に、身構える瑞希お兄ちゃんと烈司さん。




「どうしたんですか!?」

「来るぞ、凛。」

「え!?」

「両方から来る。」



その言葉通り、ガソリンスタンドの入口と出口の両方の道から複数のバイク。

乗っているのは、明らかにヤンキー達。






パッパッパラ!



「瑞希お兄ちゃん、これは!?」



バイクは次々と、私達を取り囲みながら距離をつめてくる。




パッパッパラララ!




「来たぞ、凛、烈司!」




瑞希お兄ちゃんの声に会わせて、単車が一台、私達に突っ込んできた。




「わっ!?」

「この!」



よけることは出来たけど――――――――――





パッパッパラ!

パッパッパラ!

パッパッパラ!





「また来ました!」




続々と、私達に向かってくるヤンキー集団。



「オラ死ね!」



木刀やゴルフクラブやバットを振り回しながら、突っ込んできた



「わー!?」

「こんの~!」

「くそがっ!」



よけるのに精一杯な私に対し、ケンカの先輩二人は違った。



「あぶねぇだろうコラ!?」

ドカ!

「ぎゃ!?」




木刀をよけると、ハイキックして単車ごと倒す瑞希お兄ちゃんと、



「泣かすぞボケ!」

バキ!

「ぐあ!」



アッパーを入れて、運転手だけ飛ばす烈司さん。




「お二人とも、さすがです!」

「凛、感心してる場合か!」

「凛たんそっち行ったぞ!」

「わかりました。」

「死ね凛道蓮!」

「お断りします!」

ブーン!!!




バットが顔を横切る。

敵とすれちがうその瞬間を私は狙った。





「えい!」

シュー!

「ぐああああ!?目がー!!」





日焼け止めスプレー発射。






ガッシャーン!

「わーい、勝った♪」




〔★良い子はマネしてはいけません★〕