「凛は前科があるからな・・・・」
「ちょ瑞希お兄ちゃん!?前科って何ですか!?」
「一ノ瀬ますみ。」
「瑞希お兄ちゃん!?」
「小林涼子。」
「瑞希お兄ちゃんてば!?なんでますみちゃんと涼子ちゃんの名前を言うの!?」
〔★それが瑞希にとっての凛の前科だ★〕
「なんでますみちゃんと涼子ちゃん!?」
〈そうなんすよ!高千穂はもちろんですが・・・小林涼子と一之瀬ますみがいる前で、言いやがったんですから!〉
「可児君、そっちの心配!?」
〈そうでしょう!?車ごと店に突っ込んで・・・店がめちゃくちゃっす!〉
「はあああああああ!?俺の家に車で!?」
「瑞希お兄ちゃんのご自宅兼店舗に突っこんできたの!?」
〈はい、運転席に人はおらず、代わりに、今お話した内容が手紙に書かれていまして・・・〉
「ぶっ・・・ぶっ殺す!!」
「よくも俺の店をー!」
「俺らの家とも言うだろう!?」
〔★凛は怒り、瑞希も怒り、烈司は冷静にツッコんだ★〕
「凛たん!さらったって言う彼女は、鳴海瑠華のはずだぜ!」
「烈司さん!瑠華さんは僕の彼女ではないですよ!」
「そうだとしても、さらわれたのは鳴海瑠華だ!あやめちゃんが、そう電話してきてんだよ!」
「え!?それヘルプコールだったんですか!?」
「大正解。」
確認する私に、怖い顔と声で肯定(こうてい)してくれた烈司さん。
「あやめママちゃんには毛がないけど、そっちどうなんだ、凛たん!?」
「あ!?そうでした!可児君っ!!君は大丈夫ですか!?みんな無事なんですか!?人間の方は!?」
〈はい。ありがとうございます。俺を含めて全員無事なのですが・・・・その・・・〉
「なんですか!?」
〈あのですね・・・・凛さんがこの場に帰宅すれば、狂暴化した女2人に殺されますので~〉
〈誰が狂暴化してるだ、ハゲ!?〉
〈ちょっとーりっ君と電話してるの!?どういうことよ、りっ君!?〉
電話口から、噂の女2人の声がした。


