彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




瑞希お兄ちゃんの後ろで、夜風にふかれていた。

しばらく走った私達は、無人のガソリンスタンドで給油した。

単車の燃料が満タンになるのを待つ間、瑞希お兄ちゃんに聞いた。



「これで一件落着でしょうか?」

「半分だな。」



私の問いに、瑞希お兄ちゃんは淡々とした口調でおっしゃった。



「店にいた幹部はパクれたと思う。けど・・・永山と一部は、凛に会うために店の外だ。永山達を尾行してるとは思うが、取りこぼさずにパクれてるかはわかんねぇな。」

「大丈夫ですよ。前回の失敗を教訓に、きっと捕まえてますよ!」

「凛は前向きだな?」

「え!?ダメですか?!?」

「悪くはねぇけど、テメーの仕事には、疑り深い方がいい。つーことで、渡すのが遅れちまったが、こいつを使え。」

「これは―――――!?」



そう言って私に差し出してきたのは、





「白の手袋?」





それも日焼け止め防止用のUV手袋だった。



「薄手でちょうどいいのはこれだったからな。はめとけ。」

「わかりました・・・しかし、なぜ、手袋を??」



まだ暑いとはいえ、手だけ日焼け止め防止対策をすると言うのも??

ん?もしかして、私の日焼けを心配して下さってる?



「僕の日焼けに関する防備が甘いってことですか!?」

「なんでだよ!?単に、指紋隠しのためだよ。」

「指紋隠し!?」

「オメー、今回の『GREAT STAGE』の処理には、表向きは関わらないってことで、神城と話しつけたんだろう?」

「は、はい、そうですが・・・」

「だったら、凛道蓮の痕跡(こんせき)があったらマズいだろう?抜き打ち検査するにしてもよー」

「あ、そういうことでしたか!?さすが瑞希お兄ちゃん♪!!ステキですぅ~♪」

「はいはい、ありがとよ。わかったから、さっさと手袋しろ。」

「はぁーい♪」

「予備も渡しとくからな?」

「はぁ~いっ♪」



〔★瑞希は凛に、身元隠(いん)ぺいのアイテムを与えた★〕