瑞希お兄ちゃんの後ろで、夜風にふかれていた。
しばらく走った私達は、無人のガソリンスタンドで給油した。
単車の燃料が満タンになるのを待つ間、瑞希お兄ちゃんに聞いた。
「これで一件落着でしょうか?」
「半分だな。」
私の問いに、瑞希お兄ちゃんは淡々とした口調でおっしゃった。
「店にいた幹部はパクれたと思う。けど・・・永山と一部は、凛に会うために店の外だ。永山達を尾行してるとは思うが、取りこぼさずにパクれてるかはわかんねぇな。」
「大丈夫ですよ。前回の失敗を教訓に、きっと捕まえてますよ!」
「凛は前向きだな?」
「え!?ダメですか?!?」
「悪くはねぇけど、テメーの仕事には、疑り深い方がいい。つーことで、渡すのが遅れちまったが、こいつを使え。」
「これは―――――!?」
そう言って私に差し出してきたのは、
「白の手袋?」
それも日焼け止め防止用のUV手袋だった。
「薄手でちょうどいいのはこれだったからな。はめとけ。」
「わかりました・・・しかし、なぜ、手袋を??」
まだ暑いとはいえ、手だけ日焼け止め防止対策をすると言うのも??
ん?もしかして、私の日焼けを心配して下さってる?
「僕の日焼けに関する防備が甘いってことですか!?」
「なんでだよ!?単に、指紋隠しのためだよ。」
「指紋隠し!?」
「オメー、今回の『GREAT STAGE』の処理には、表向きは関わらないってことで、神城と話しつけたんだろう?」
「は、はい、そうですが・・・」
「だったら、凛道蓮の痕跡(こんせき)があったらマズいだろう?抜き打ち検査するにしてもよー」
「あ、そういうことでしたか!?さすが瑞希お兄ちゃん♪!!ステキですぅ~♪」
「はいはい、ありがとよ。わかったから、さっさと手袋しろ。」
「はぁーい♪」
「予備も渡しとくからな?」
「はぁ~いっ♪」
〔★瑞希は凛に、身元隠(いん)ぺいのアイテムを与えた★〕


