「LINEで、他の店舗からも警察が踏み込んだ知らせがきました。LINEが来た携帯は捨てます。もちろん、先ほどグレートさんが使っていたタブレットもです。そのための使い捨て品です。」
「チッ!神城がやりやがったのか!?」
「違います。おそらくは、凛道蓮でしょう。」
「凛道蓮!?」
「はい。もっと早く、こちら側に取り込んでおくべきでした。あるいは、鳴海瑠華への接触を、もっとソフトにするべきでしたね。」
「な!?瑠華はあんなガキと付き合ってんのか!?」
「男女交際はわかりませんが、気に入られているのは確かです。」
「あのガキがサツを呼んだってのか!?サツと相性最悪の暴走族だろう!?」
「凛道蓮は、地域の治安維持に貢献しているそうです。そうなると、警察もある程度は・・・」
「なんだよそれ!?これからどうすんだよ!?」
「ケツ持ちに頼りましょう。」
「はあ!?そんなだせーことが出来るか!?」
「そうしないと、あなたが捕まりますよ、永山さん?」
「くっ!すぐにケツ持ちに連絡しろ!」
「しました。エレベーターはまずいので、階段で逃げましょう。
そう言って、階段へと俺を誘導する美涼。
(くそ!なんでバレた!?凛道蓮はなんでわかった!?会って数日のガキにここまでしてやられるとは!これが龍星軍4代目頭の力なのか!?)
「グレートさん隠れて!」
突然腕をつかまれて、何階かわからない階段の出入口を開ける美涼。
引っ張られ、扉が静かにしまる。
「静かに!」
わけがわからぬままでいたら、
「急げ急げ!」
「必ず永山グレイトの身柄を押さえろ!」
扉越しに、そんな会話と激しい足音がした。
複数の足音は、俺達が降りてきた方へと向かいながら小さくなっていった。
「非常階段へ。」
美涼が俺の腕をつかんだままそうつぶやく。


