彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「LINEで、他の店舗からも警察が踏み込んだ知らせがきました。LINEが来た携帯は捨てます。もちろん、先ほどグレートさんが使っていたタブレットもです。そのための使い捨て品です。」

「チッ!神城がやりやがったのか!?」

「違います。おそらくは、凛道蓮でしょう。」

「凛道蓮!?」

「はい。もっと早く、こちら側に取り込んでおくべきでした。あるいは、鳴海瑠華への接触を、もっとソフトにするべきでしたね。」

「な!?瑠華はあんなガキと付き合ってんのか!?」

「男女交際はわかりませんが、気に入られているのは確かです。」

「あのガキがサツを呼んだってのか!?サツと相性最悪の暴走族だろう!?」

「凛道蓮は、地域の治安維持に貢献しているそうです。そうなると、警察もある程度は・・・」

「なんだよそれ!?これからどうすんだよ!?」

「ケツ持ちに頼りましょう。」

「はあ!?そんなだせーことが出来るか!?」

「そうしないと、あなたが捕まりますよ、永山さん?」

「くっ!すぐにケツ持ちに連絡しろ!」

「しました。エレベーターはまずいので、階段で逃げましょう。



そう言って、階段へと俺を誘導する美涼。





(くそ!なんでバレた!?凛道蓮はなんでわかった!?会って数日のガキにここまでしてやられるとは!これが龍星軍4代目頭の力なのか!?)


「グレートさん隠れて!」





突然腕をつかまれて、何階かわからない階段の出入口を開ける美涼。

引っ張られ、扉が静かにしまる。





「静かに!」





わけがわからぬままでいたら、





「急げ急げ!」

「必ず永山グレイトの身柄を押さえろ!」





扉越しに、そんな会話と激しい足音がした。

複数の足音は、俺達が降りてきた方へと向かいながら小さくなっていった。





「非常階段へ。」





美涼が俺の腕をつかんだままそうつぶやく。