「ちょっと、放しなさいよ都司子ちゃん!」
「もちろんだよ、瑠華姉さん!ちゃんと話すよ!」
「その『はなす』じゃない!あたしから離れてって意味よ!くっついたまま、凛道蓮の方に行かないで!」
「いえ、そのままでお願いします、瑠華さん。あなたにも、お願いしたいことがあります。」
(あたしにお願い?)
「何をさせようって言うの?」
「簡単です。」
あたしの前まで来ると、あたしを見ながらチョコちゃんは言った。
「僕に罵声を浴びせながら、乱暴にお店の外に放りだしてください。」
「なんですって!?」
「今すぐ、お願いします。」
「・・・。」
意味が分からず、渡瀬さんを見る。
渡瀬さんも目を点にしていたけど、あたしの視線に気づき、チョコちゃんを見る。
「えーと、意味があることなのかい、チョコちゃん?」
「あります!さあ!」
満面の笑みで、あたしに手を差し出す少年。
思わずその手を取れば、早く早く!とせがまれる。
「ま、待って。今くつを~」
「ガールズバーの時みたいな感じでお願いします!あ、セリフは『出ていけ、凛道蓮この野郎、こっちだってあんたの助けはいらない』でお願いします♪あ、こののトーンや言い方は、怒ってる感じにしてください。しゃべり方は瑠華さんにお任せしますから。」
「え?・・・わ、わかったわ・・・・」
いまいち意味が分からなかったけど、勧められるまま、チョコちゃんの襟首をつかむ。
自分よりも小さい体に罪悪感を覚えながら―――――――演じた。
「出ていけ――――――!!凛道蓮この野郎ぉ――――!!こっちだってあんたの助けはいらない!!!」
チョコちゃんの指示通り、勢いよく乱暴にお店の扉を開けてから、暴言まじえながら、お店の外へと叩きだした。


