言えなかった。
昨夜、あたしをたずねてきてくれたチョコちゃんに言えなかった。
(『助けて』・・・・と。)
いいえ、言わなくて正解だったのよ。
年下の男の子に何ができる?
悪知恵の働く年上たちの相手ができるわけがない。
凛道蓮と話をして、噂通りだと半分は思った。
もう半分は、凶悪性が誇張されていただけで、びっくりするぐらい善人だったことがわかった。
偽善者とは違う良い人間。
素直すぎる子共だった。
そんな年下の子に、年上の自分が頼るなんてできない。
忌まわしい過去を話しただけでも、頑張った方よ。
(それで『助けて』なんて――――――言えるわけがない。)
自分の後始末は自分でつけなきゃいけない。
(過去の因縁がまだ断ち切れてないなら、今度こそ、きっちりさよならしなきゃ―――――――!!)
そう考えながら、間借りしているお店に入る。
「あ、瑠華ちゃん!?よかった!」
それで中にいた人達が、嬉しそうな声で出迎えてくれた。
「やっと来てくれた~!」
「心配してたんだよ~」
同僚のスタッフ達だった。
「瑠華ちゃん、体調は平気?」
「ええ、大丈夫よ。学さんは?」
「まだだよ。てか、ナイスタイミングだよ!今、瑠華ちゃん待ちの女の子が1人来てるの。」
「それはナイスタイミングね。ありがとう。対応するわ。」
「うん、お願いしまーす!」
NPOには、相談に来る訳ありの子が多い。
その子達にはみんなそれぞれ、担当のスタッフがいる。
だれがどの子の担当になるかは、代表の渡瀬さんが決めている。
相性もあるので、相談していく中で担当を変えたりもする。
そうやって、1人1人が問題解決ができる手助けをしている。
あたしも十数人受け持ってるけど、これでも少ない方。
新入りだから少なくしてもらってる。
(誰が来たのかしら・・・?)
そう考えながら、ふすまを開ける。
「なにしてるの!?」
反射的に叫んでいた。
目に飛び込んできたのは、椅子の上に立っている女の子。
その首には、天井からぶら下がっているロープが巻き付いていた。


