彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




言えなかった。

昨夜、あたしをたずねてきてくれたチョコちゃんに言えなかった。





(『助けて』・・・・と。)





いいえ、言わなくて正解だったのよ。

年下の男の子に何ができる?

悪知恵の働く年上たちの相手ができるわけがない。

凛道蓮と話をして、噂通りだと半分は思った。

もう半分は、凶悪性が誇張されていただけで、びっくりするぐらい善人だったことがわかった。

偽善者とは違う良い人間。

素直すぎる子共だった。

そんな年下の子に、年上の自分が頼るなんてできない。

忌まわしい過去を話しただけでも、頑張った方よ。





(それで『助けて』なんて――――――言えるわけがない。)





自分の後始末は自分でつけなきゃいけない。





(過去の因縁がまだ断ち切れてないなら、今度こそ、きっちりさよならしなきゃ―――――――!!)





そう考えながら、間借りしているお店に入る。





「あ、瑠華ちゃん!?よかった!」



それで中にいた人達が、嬉しそうな声で出迎えてくれた。



「やっと来てくれた~!」

「心配してたんだよ~」



同僚のスタッフ達だった。



「瑠華ちゃん、体調は平気?」

「ええ、大丈夫よ。学さんは?」

「まだだよ。てか、ナイスタイミングだよ!今、瑠華ちゃん待ちの女の子が1人来てるの。」

「それはナイスタイミングね。ありがとう。対応するわ。」

「うん、お願いしまーす!」



NPOには、相談に来る訳ありの子が多い。

その子達にはみんなそれぞれ、担当のスタッフがいる。

だれがどの子の担当になるかは、代表の渡瀬さんが決めている。

相性もあるので、相談していく中で担当を変えたりもする。

そうやって、1人1人が問題解決ができる手助けをしている。

あたしも十数人受け持ってるけど、これでも少ない方。

新入りだから少なくしてもらってる。





(誰が来たのかしら・・・?)





そう考えながら、ふすまを開ける。





「なにしてるの!?」





反射的に叫んでいた。

目に飛び込んできたのは、椅子の上に立っている女の子。

その首には、天井からぶら下がっているロープが巻き付いていた。