「・・・泣き虫ね、チョコちゃん・・・何で泣いてるのよ・・・。」
「だって!」
―こいつ反応しないよなー ―
―抵抗も足りないなぁ~裸にすれば、また違うか?―
「チョコちゃんには関係ないのに。」
「だって瑠華さんが!」
―おい、まだこいつ動くぞ!?―
―薬の効きが悪いのか!?―
「瑠華さんが・・・平気な風に言うから・・・!」
「・・・チョコちゃん・・・」
―今、大人の保健体育、教えてあげるからな~―
―それじゃあ~いただきまーす!―
「うっ・・・うう・・・!」
それ以上は、声が出なかった。
「ばか。」
耳元で声がしたと思ったら抱きしめられていた。
思わず相手の顔を見れば、私を見つめる悲しい目と視線がまじわった。
私をばかと言った口が、再び言葉をつむぐ。
「偉人は・・・龍志に連絡をしたタイミングに合わせて、亜都子ちゃんを龍志達のたまり場の前に置き去りにしていた。薬のせいで亜都子ちゃんは、偉人の居所を突き止めたあたりのことを覚えてなかった。覚えてなくて、よかったと思ってる。」
「なんで!?なんで・・・亜都子ちゃんに言わないのですか!?」
「言えるわけないでしょう!!?」
絞り出すような声で瑠華さんは言った。
「そんな話を亜都子ちゃんにしたら、自分を責めてしまうわ!あの子は傷つけたくなかった!!」
「瑠華さんが傷ついてるじゃないですか!?」
「あたしは慣れてるわよ!元々、男好きな女って、言われてたから平気よ!」
「今さら終わったことを―――話す気もないわ!レイプされかけた経験なんて、思い出したくもないからね!」
「じゃあ、どうして僕に話したんですか!?」
「わからないっ!!」
そう叫ぶ瑠華さんの表情は、苦痛でゆがんでいた。


