彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




瑠華さんの部屋は、一番奥だった。

ツバキさんの案内で手を引かれ、ドアの前に立つ。

そこでツバキさんは私から手を離すと、コブシを作って扉をノックした。





コンコン。

「瑠華、瑠華にお客さんよ。出てきてちょうだい。」





ツバキさんが動作と声で呼びかけるが、返事はない。



「また返事なしか・・・」

「僕がいるから、返事をしてくれないのでしょうか?」

「そんなことないです。あたしも昨日から声を聞いてませんから。」



なぐさめで言ってくれた言葉だが、せつない。



「瑠華、聞こえてるんでしょう?返事をして!」



物音1つしないので不安になる。



「まさか・・・部屋の中で倒れてませんよね?家の中でも熱中症になるって聞きますから・・・」

「それなら『クーラー病気』の方が、確率高いぞ、凛。」

「『クーラー病』ってなんですか、お兄ちゃん?」

「別名、『冷房病』ってゆーんだ。覚えとけよ、凛。」

「つーか、体調不良を心配するって、凛たんも瑞希も優しいなぁ~」





〔☆良い子のためのワンポイント解説☆〕
クーラー病(冷房病):気温差の激しい場所の出入りすることで怒る体調不良のことだよん☆彡



「瑠華!るーか!瑠華ちゃんてば~!」

「あの・・・僕も呼びかけていいですか?」

「あ、もちろんです!でも・・・」



見かねて声をかければ、ホッとした顔で言われる。



「返事をしてくれる保障はできないです。」



そう言った顔は不安げだったので、元気づけるために言った。



「覚悟の上です。では、必ずお返事をもらえるように、工夫してみます。」

「優しいなぁ~凛たん♪なんか、こーゆー顔を見ないでのやり取りって、アレみたいだな、瑞希?」

「おう、すだれ越しでやりとりする平安貴族みだいだな。」

「あらステキ♪お二方、古風なことをおっしゃいますね~♪」



古風で思い出す。





(・・・昔の人を見習って、あの方法で瑠華さんに呼びかけてみよう。)





そうと決まれば―――――――





「ツバキさん、お願いがあります。」

「なんでしょう?」

「あればでいいのですが・・・・お借りしたいものがあります。」

「え?」





瑠華さんの声を聞くために、私は行動に出た。