彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「誰かいるのか?泣いてんのか?」

「「!?」」



突然響いた男の声。

私と吉田さんは、同時に顔を見合わせる。



(泣き声で引き寄せたか!?)

てか、『これは間違いない』・・・な。

瞬時に理解し、小声で吉田さんにささやく。



「行って下さい。私と一緒にいるのを見られるとマズいです。」

「で、っでも・・・」

「早く行って下さい。」

「行けないよ。」

「え?」

「行けない・・・!」

「なに言ってるんですか?ここは、別れて逃げるべきです。2人一緒にいるところを見られるのがよくないのですよ?」

「わかってるけど、行けないよ。」

「なぜ、です?」

(まさか、私を1人残して逃げれないってこと?)



私の問いかけに、小さくも力強い声で言った。


「だってまだ、菅原さんのLINE聞いてない!」

「・・・・・・・・・え?LINE・・・・・・・?」

「うん!だって、アプリを登録してもらうにしても、これから一緒に頑張って行くなら、アドレス交換したきゃ出来ないよ・・・!?」

「あ・・・ああ、そうですね・・・」

(そっちの心配かよ!?)


一瞬、私を心配してくれたのかと思っちゃったじゃない!?

恥かしいなぁ~~~もうっ!


(私の感動を返せっ!!)



〔★凛は感情の返却を求めた★〕



「菅原さん、早く・・・!」


スマホを見せながら不安そうに言う相手。

ちゃっかりしてるなと思いつつ、ため息を聞かれないようにしながら返事をする。


「それもそうですね。交換を・・・」


と言ってはみたものの。


「あれ?でも・・・同じ委員会だからって、4月にLINE交換しましたよね?」


ふと、思いだした情報を口にすれば、吉田さんの表情が曇る。


「っ!ごめんなさい・・・小村さん達の前で、菅原さんのアドレス、削除させられちゃって・・・」

「ああ、なるほど。」

「あ、あと・・・委員会で入ってるグループLINE、菅原さんだけブロックされてることは・・・知ってる?」

「はい、知ってますよ。それも、小村さん達ですか?」

「指示したのは渕上さんだけど・・・」



(本当に性格が悪いな、渕上。)



〔★みんな知ってることだ★〕