「誰かいるのか?泣いてんのか?」
「「!?」」
突然響いた男の声。
私と吉田さんは、同時に顔を見合わせる。
(泣き声で引き寄せたか!?)
てか、『これは間違いない』・・・な。
瞬時に理解し、小声で吉田さんにささやく。
「行って下さい。私と一緒にいるのを見られるとマズいです。」
「で、っでも・・・」
「早く行って下さい。」
「行けないよ。」
「え?」
「行けない・・・!」
「なに言ってるんですか?ここは、別れて逃げるべきです。2人一緒にいるところを見られるのがよくないのですよ?」
「わかってるけど、行けないよ。」
「なぜ、です?」
(まさか、私を1人残して逃げれないってこと?)
私の問いかけに、小さくも力強い声で言った。
「だってまだ、菅原さんのLINE聞いてない!」
「・・・・・・・・・え?LINE・・・・・・・?」
「うん!だって、アプリを登録してもらうにしても、これから一緒に頑張って行くなら、アドレス交換したきゃ出来ないよ・・・!?」
「あ・・・ああ、そうですね・・・」
(そっちの心配かよ!?)
一瞬、私を心配してくれたのかと思っちゃったじゃない!?
恥かしいなぁ~~~もうっ!
(私の感動を返せっ!!)
〔★凛は感情の返却を求めた★〕
「菅原さん、早く・・・!」
スマホを見せながら不安そうに言う相手。
ちゃっかりしてるなと思いつつ、ため息を聞かれないようにしながら返事をする。
「それもそうですね。交換を・・・」
と言ってはみたものの。
「あれ?でも・・・同じ委員会だからって、4月にLINE交換しましたよね?」
ふと、思いだした情報を口にすれば、吉田さんの表情が曇る。
「っ!ごめんなさい・・・小村さん達の前で、菅原さんのアドレス、削除させられちゃって・・・」
「ああ、なるほど。」
「あ、あと・・・委員会で入ってるグループLINE、菅原さんだけブロックされてることは・・・知ってる?」
「はい、知ってますよ。それも、小村さん達ですか?」
「指示したのは渕上さんだけど・・・」
(本当に性格が悪いな、渕上。)
〔★みんな知ってることだ★〕


