彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「そんなこと・・・!!」


相手が言葉を詰まらせる。


「そんなこと・・・ないよ・・・」


泣き顔を、さらにゆがめながら、絞り出すような声で言った。


「あ・・・ありがとう!本当に・・・あ、ありがとう!ありがとうございます!ありがと・・・ぅうう!」

「ほら、もう泣かないで下さい。これから・・・頑張りましょう?」

「うん、うん・・・うぅ・・・ありがとう、菅原さん・・・本当にごめんなさい・・・!」


震えながら、私にしがみつきながら、感謝と謝罪の言葉を繰り返す同級生の女の子。

そんな相手を、私は無言で抱きしめる。


「え!?す、菅原さ・・・!?」


吉田さんの体に触れた時、その身が固くなったが、私が背を撫でて、頭を撫でれば、一気に力んでいる力が抜けた。



「ごめんなさい・・・ありがとう・・・」

「・・・いいんですよ。」




大きくなった泣き声を聞きながら、静かに相手をなぐさめる。


(まったく・・・渕上の関係者は、ロクな奴らがいない・・・)

どうしてくれよ。


(いっそ、『凛道蓮』で動いてしまうか?)

いや、それはダメだ。



(『凛道蓮』は、『真田瑞希』様のために存在する私だ。愛しいあの方以外で、『凛道蓮』は使わない。使えない・・・。)



〔★真田瑞希以外での使用を却下した★〕


「助けてくれてありがとう・・・ごめんなさい・・・!!」

「お礼を言うのはまだ早いですよ。解決してからです。」

「ごめんなさい・・・!!」


とにかく、吉田さんのアプリ借金を何とかしないとだめだ。


(『菅原凛』の協力でどこまで出来るか・・・。最悪は、どちらの凛でも頼れる関西男子に救助要請を頼むか――――?)


吉田さんをヨシヨシしながら、今後の作戦はどうしようかと思った時だった。