「私、私・・・菅原さんがいじめられてる時に助けなかったのに・・・菅原さんは私を助けてくれるの・・・!?」
「え?はい、そうですが・・・?」
「なんで!?わりにあわなくない!?私、これから先、菅原さんを助けられる自身も勇気もないよ!?」
「・・・私の方は、大丈夫です。今は、吉田さんの方を優先しましょう。そもそも、利害関係のために、吉田さんを助けたいと思ったんじゃないです。」
「なにそれ!?どうして助けたいって思えるの!?私菅原さんに、ひどいこと言ったのに・・・」
(そう言われても・・・・)
確かに、吉田さんにはひどいこと言われた。
言われたけど――――――
「放っておけないから、ですかね・・・」
「へ?」
「私も・・・・・・・小村さんじゃないけど、同じクラスの人達に、いじめられてるから・・・わかるっていうか・・・」
いじめられてると、言葉にしたら、すごくみじめになった。
だけど、泣いてる吉田さんを見たら、劣等感をふり払えた。
「いじめられる痛みがわかるから、止められるものなら・・・止めたいんです。」
「菅原さん・・・!」
「いじめられるつらさを知ってるから・・・これ以上、同じ思いをしてほしくないからです。」
「すっ、菅原さん・・・!」
「だから、これから一緒に頑張っていきましょう?」
むしろ、人を助ける余裕なんて菅原凛にはない。
だけど、いじめられる痛みは嫌と言うほどわかっている。
(気休めにしかならないとしても、励ましてみたくなった・・・)
だけどそれって、偽善者の考えよね?
人の心配よりも、自分のことなんだけど・・・
ダメかもな、私・・・。
「あはは。ちょっと・・・・・・きれいごとすぎますかね?」
自分の言葉に、言った後で恥ずかしくなる。
笑ってごまかせば、吉田さんの表情が変わる。


