彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「私、私・・・菅原さんがいじめられてる時に助けなかったのに・・・菅原さんは私を助けてくれるの・・・!?」

「え?はい、そうですが・・・?」

「なんで!?わりにあわなくない!?私、これから先、菅原さんを助けられる自身も勇気もないよ!?」

「・・・私の方は、大丈夫です。今は、吉田さんの方を優先しましょう。そもそも、利害関係のために、吉田さんを助けたいと思ったんじゃないです。」

「なにそれ!?どうして助けたいって思えるの!?私菅原さんに、ひどいこと言ったのに・・・」


(そう言われても・・・・)


確かに、吉田さんにはひどいこと言われた。

言われたけど――――――


「放っておけないから、ですかね・・・」

「へ?」

「私も・・・・・・・小村さんじゃないけど、同じクラスの人達に、いじめられてるから・・・わかるっていうか・・・」


いじめられてると、言葉にしたら、すごくみじめになった。

だけど、泣いてる吉田さんを見たら、劣等感をふり払えた。


「いじめられる痛みがわかるから、止められるものなら・・・止めたいんです。」

「菅原さん・・・!」

「いじめられるつらさを知ってるから・・・これ以上、同じ思いをしてほしくないからです。」

「すっ、菅原さん・・・!」

「だから、これから一緒に頑張っていきましょう?」


むしろ、人を助ける余裕なんて菅原凛にはない。

だけど、いじめられる痛みは嫌と言うほどわかっている。


(気休めにしかならないとしても、励ましてみたくなった・・・)


だけどそれって、偽善者の考えよね?

人の心配よりも、自分のことなんだけど・・・

ダメかもな、私・・・。



「あはは。ちょっと・・・・・・きれいごとすぎますかね?」


自分の言葉に、言った後で恥ずかしくなる。

笑ってごまかせば、吉田さんの表情が変わる。