彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「と、とにかく!先生はもちろん、お母さん達とか親は・・・ダメ!やめて!もっといじめられちゃう・・・!」


そう言うと、シクシクと泣きだす吉田さん。


「わかりました。」


なので、大人への密告作戦は使えないと思う。


「ですが・・・小村さん達からポイントを押し付けられ、それでゲームに負けて借金を増やしていく悪循環は解決しなきゃダメです。彼女達が、ポイントを貸してこないような方法を考えないと・・・。」

「わかってる!わかってるけど――――・・・!!」

「そうですね。吉田さんなら、良い方法があれば、実行してますよね。」

「・・・うん・・・。」

「何かいい方法は、ないでしょうか・・・」


追い詰められた同級生をなだめながら、思案する。



「―――――あった!」

「え?」



かすれるような泣き声で、吉田さんがつぶやく。



「あったって、解決策がですか?」

「え!?あ・・・いや・・・それは――――――」



聞き返せば、言葉を濁す。



「何か方法があるなら、教えてください。」

「ダメ・・・・」

「やる前から、ダメと決めつけちゃだめですよ!」


可能性があるなら、してみるべき。

何もしないで、どうしよう、どうしようと、困っているだけじゃ解決できない。


「やって後悔するのとしないのでは、やって後悔したほうがいいです!」

「・・・・・・・・そうかな?」

「そうですよ!」


笑顔でうなずけば、うつむきながら吉田さんは言った。


「私・・・頼んでみる・・・・!!」


彼女の口から出る決意表明。


「小村さん達に・・・お願いしてみる。頼み込めば・・・なんとかなると思う・・・。ポイントを強制的に貸し付けてくるのを、止めてもらえるように・・・!」

「そうしてください!出来そうですか?」

「・・・・・・うん・・・・・」


私の問いに不安げながらも同意の返事が返ってくる。

そして、顔をあげた吉田さんは、私を見ながら聞いてきた。


「・・・大丈夫だよね、菅原さん?」

「大丈夫だと信じます!もし、私にできることがあれば言ってください。協力しますからね?」

「ありがとう・・・菅原さん・・・・!!」


そう告げる吉田さん目からは、これまで以上に大量の涙があふれ出ていた。