「と、とにかく!先生はもちろん、お母さん達とか親は・・・ダメ!やめて!もっといじめられちゃう・・・!」
そう言うと、シクシクと泣きだす吉田さん。
「わかりました。」
なので、大人への密告作戦は使えないと思う。
「ですが・・・小村さん達からポイントを押し付けられ、それでゲームに負けて借金を増やしていく悪循環は解決しなきゃダメです。彼女達が、ポイントを貸してこないような方法を考えないと・・・。」
「わかってる!わかってるけど――――・・・!!」
「そうですね。吉田さんなら、良い方法があれば、実行してますよね。」
「・・・うん・・・。」
「何かいい方法は、ないでしょうか・・・」
追い詰められた同級生をなだめながら、思案する。
「―――――あった!」
「え?」
かすれるような泣き声で、吉田さんがつぶやく。
「あったって、解決策がですか?」
「え!?あ・・・いや・・・それは――――――」
聞き返せば、言葉を濁す。
「何か方法があるなら、教えてください。」
「ダメ・・・・」
「やる前から、ダメと決めつけちゃだめですよ!」
可能性があるなら、してみるべき。
何もしないで、どうしよう、どうしようと、困っているだけじゃ解決できない。
「やって後悔するのとしないのでは、やって後悔したほうがいいです!」
「・・・・・・・・そうかな?」
「そうですよ!」
笑顔でうなずけば、うつむきながら吉田さんは言った。
「私・・・頼んでみる・・・・!!」
彼女の口から出る決意表明。
「小村さん達に・・・お願いしてみる。頼み込めば・・・なんとかなると思う・・・。ポイントを強制的に貸し付けてくるのを、止めてもらえるように・・・!」
「そうしてください!出来そうですか?」
「・・・・・・うん・・・・・」
私の問いに不安げながらも同意の返事が返ってくる。
そして、顔をあげた吉田さんは、私を見ながら聞いてきた。
「・・・大丈夫だよね、菅原さん?」
「大丈夫だと信じます!もし、私にできることがあれば言ってください。協力しますからね?」
「ありがとう・・・菅原さん・・・・!!」
そう告げる吉田さん目からは、これまで以上に大量の涙があふれ出ていた。


