凛君から、凛道ガールの話を聞いていないことも混乱に拍車(はくしゃ)をかけた。
「違います!違います!!誤解ですよ!凛君が私なんかに愛なんて!恐れ多いカン違いですっ!」
「はは!そういう謙虚なとこ、凛道さんも好きなんでしょうね~」
「好・・・!?と、とんでもない!どうか、からかわないで下さい・・・!」
真っ白になる頭と、熱くなる顔で、全力で否定する。
だけどレディースの皆さんは、ほがらかな笑みで首を横に振る。
「いいんすよ、いいんすよ。うちの姫と並ぶだけあって、良い性格してるのはわかってますから。」
「だよな~猫かぶり破りっ子だったら、チーム破門覚悟で消そうと思ったけどよ~マジで良い子だもんな~小林さん!」
「つーことで、うちの『姫』が小林さんと話したいってことなんで~よろしく!」
「え?」
そう言って、キラキラした物体・・・スマホを私に差し出してきた。
「ひ、姫って・・・?」
(誰・・・??)
聞き返しながら、反射的に受け取ってしまったスマホ。
画面を見れば、通話中の表示。
「え!?い、いつから・・・!?」
「お名前呼んで、話しかけた時からっす。」
「最初からなんですね!?」
「涼子!待たせたら悪いから早く出なよ!?」
私が受け取ったスマホの画面をのぞき込んだ久美子ちゃんが言う。
「お金だって、もったいないよ!あと、話すなら教室の外で話しなよ!聞かれたらよくないかもしれないから!」
「え?え!?ええ?」
そう言うなり、私の手を引いて教室の外へと向かう久美子ちゃん。
その動きに合わせるように、レディースの女子3人が、私達を守るように囲む。
そこで私は、そんな私達を、クラスメート達が食い入るように見ているのに気づく。
私達を見ているクラスメートの視線は・・・私みたいな地味な子には不釣り合いな物だと思えた。


