彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「そんなことないわけない!あんたは凛道蓮に気に入られてるの!」



ほんわかな凛君を思い浮かべていたら、久美子ちゃんから強烈な声を浴びせられた。



「誰が見てもあんたは凛道さんに好かれてるよ!自覚しなよ?」

「ちょ、久美子ちゃん!?」

「そうじゃなきゃ、先輩にからまれてるのを助けてくれないでしょ?」

「ちょ!?しー!静かに!」

「涼子と凛道さんが仲いいのは、みんな知ってるんだから、隠したって無意味よ!」

「え!?そうなの!?」

「現に今だって、見守り要員が来てるわよ?」

「え?見守り?」



久美子ちゃんの視線の先を見れば、同じ学年でも有名な女子達が数名、教室の入り口にいた。

高千穂さんと同じカテゴリーの・・・



(ヤンキー女子さん達・・・)

「あれって・・・6組の・・・?」

「そうだよ。全員、『サラスヴァティー』のメンバー。」

「え!?もしかして、私みたいなのが凛君に優しくされるのは分相応だから、呼び出すために来たのかな・・・!?」

「どんだけ被害妄想がひどいの!?そんなわけないでしょ!?『小林涼子の見守り要員』って、言ったよね!?」

「ど、どういうこと!?」



「小林さぁ~ん。」




久美子ちゃんに聞き返した時、甘い香りがした。



「あ!?」

「「「ちわっす。」」」



甘い香りの発生源は、教室の入り口にいたはずの人達。

女性のみの暴走族、レディースの『サラスヴァティー』のメンバーの方々だった。



(い、いつの間に近く!?)



〔★涼子は距離を詰められた★〕



「あ、えっと、こんにちは・・・」

「大丈夫っすよ。」



戸惑う私に、そのうちの1人が笑顔で言う。



「龍星軍の皆さんを呼び出してる族が、こっちに殴り込みしてきたとしても、自分らが小林さん守りますんで。」

「え?」



殴り込・・・?守る?



「ま・・・守るって、私をですか!?」

「当然っす!」



思わず聞き返せば、そのうちの1人がどや顔で教えてくれた。