彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「今の自分の顔、鏡で見てどう思いますか?私から見ても、苦しそうな表情です。」

「え?だ・・・だからなに!?」

「苦しんでる人を、さらに苦しめるようなこと、私はしません。出来ません。自分がされたら嫌だから、出来ないんです。」


相手が苦しんでるとわかっていても、しつこくしつこく、嫌がることをしてくるのがいじめだ。

それがどんなにつらいか、一学期後半から今まで、嫌というほど思い知らされた。



「お願いします、吉田さん。」



やられた内容は違っても、彼女もイジメられていることに代わりはない。

だから、つらさと痛みはわかる。



「私に、吉田さんを苦しめるようなことを、させないで下さい。」



予備で持っていたハンカチで、吉田さんの目元の涙を拭く。



「菅原さん・・・!?」

「お願いします。」



ハンカチを相手の目元にあてたまま、頭を下げて頼む。



「吉田さんを苦しめるような真似を、私にさせないで下さい。いじめられるつらさを知っているからこそ、理不尽な攻撃で傷ついているあなたを追いつめたくありません。吉田さんは何も悪いことをしていないのですから。」

「うっ・・・!うわぁあああああああああ!!」



泣きながら、吉田さんが抱き付いてくる。

その体を両手でしっかりと抱きしめる。



「ごめんなさい!ごめんなさい!菅原さん!ごめんなさい!」

「いいんですよ。」

「ごめんなさい!ごめんなさい!私!!」

「つらかったですね。」

「うっう!うん!うん!うう・・・!」



いじめられていた女の子の背中を撫でながらあやす。

なだめる。

遠くで歌声が聞こえる。

始業式で歌われる校歌だろう。

そう予想しながら、出来るだけ優しく吉田さんを抱き寄せた。