「凛?」
「え?」
ふいに名前を呼ばれる。
声のする方を見て、今度は私に動揺が走る。
「お、お母さん!?」
相手が母親だったから。
親の視線は、すぐに私から隣にうつる。
「あら、お友達?」
(マズい!!)
夏休みの外泊とか全部、友達と行動してるって申告していた。
だから、ここでお母さんに余計なことを言われるとマズい!!
〔★ウソがばれてしまう★〕
「はい。はじめまして、凛さんのお母さん。いつも凛さんにはお世話になっています。吉田都司子です。」
丁寧な挨拶をするよっちゃん。
娘だからこそわかる。
お母さんが友達をチェックしていることを。
「礼儀正しい、良いお嬢さんね。凛の母です。はじめまして。」
合格ラインだったから、愛想よくなったことがわかった。
「これからも凛と、仲良くして下さいね。あなたも、渕上さんと仲良しなのかしら?」
「え!?」
「お母さん!!」
(このバカ親!)
慌てて、母親の言葉を訂正した。
「なに言ってるのお母さん!?大げさなこと言わないでよ~!?渕上さんと仲良しって、言いすぎだよ!違うからね、よっちゃん!?」
「なに言ってるの凛!渕上さんは、わざわざうちにまで、遊びに来てくれたでしょう!?一緒にお勉強してるんじゃないの!?」
「え・・・?」
「やめて!お母さんてば!!」
お母さんの言葉に、目を丸くしながら私を見るよっちゃん。
彼女もまた、私の母の言葉に動揺していた。
「凛ったら・・・照れてるの?悪いことしてるわけじゃないんだから、誇りに思いなさいよ。渕上さんのお嬢さんに気に入ってもらえてるんだから。」
「だ・・・」
(黙れババアー!!!)
黙れって言いたい!黙れてって言いたいけど――――――っ!!
悲しいかな。
親を大事にするようにと、道徳的な教えが身にしみついてることもあって、母親の口をふさぐことができない残念な私。
黙れババア!!!と言えない。
〔★菅原凛は母親に弱かった★〕


