彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



全校生徒が体育館に集まっているということもあり、誰にも会うことなく校舎裏へとたどり着けた。


(ここまでくれば、大丈夫よね?)


周囲に生徒や教師がいないことを確認する。


「吉田さん、こっちへ来てください!誰も見てませんから。」

「う・・・うん。」


安全を確信してから吉田さんに声をかける。

手招きすれば、恐る恐る近づいてきた。


「こんな場所で悪いですが、かんたんな手当てをしましょう。『自前』ですが、すみません。」

「え?手当て?自前って・・・?」

「アイテムは持ってます。」


コンパクトサイズの、応急処置セットを見せながら言う。


いじめによる怪我をするおかげで、いつも持ち歩いていたのだ。


〔★装備している理由がむなしい★〕



「さあ、ここに座って。」

「・・・うん・・・」

「あ、その前に、汚れをとりましょう。」


手で軽く、吉田さんの制服の土を払ってから、傷の手当てをした。

ひどい傷にだけ、ぼんそうこうを貼った。


「どうして・・・助けてくれるの?」


手当てしていれば、怯える声で聞かれた。


「・・・痛そうだったから。」


無難な答えを返した。

特に理由はない。


(だって、気づいた時には、身体が勝手に動いていたから・・・。)

「これでいいよ。」


そう伝えて、ハンカチで制服の汚れを払う。


「なにも・・・聞かないの?」

「・・・・私がいじめられてること、知ってるでしょう?私から貴女に接触するような真似はできません。お互いのためです。関わらない方がいい方が良いでしょう?」

「ごめんなさい・・・」


そう伝えたら、頭を下げられた。

関りを持たないことについて、理解してくれたのだと思ったのだけど・・・


「菅原さんに『ひどいこと』言って、ごめんなさい・・・!!」

「え?」

「いじめる側に回って・・・!!」


(・・・あ、そっちか。)


吉田さんの言葉で、自分の解釈違いに気づく。



(『ごめんなさい』って、そういう意味の『ごめんなさい』か・・・。)



相手が言ってるのは、今日のことではなく、過去への謝罪だった。