イライラを抑えながら、養護教諭の帰りを待つ。
時折、吉田さんの方を見る。
彼女はこちらを見ることなく、下を向いたまま動かない。
時々、痛々しい足をさすっている。
「痛っ・・・!」
反射的につぶやいてしまっているらしい苦痛の声。
それを聞いたら、たまらなくなった。
(・・・・・待てないな。)
自分のことなら我慢できるが・・・・・これは無理だ。
「ちょっと先生、呼んできますね。」
「え?す、菅原さん・・・」
一言、吉田さんに伝えてから保健室の前から移動する。
(これ以上待てるか!!)
待ちきれなくなり、職員室へ向かった。
「失礼します。」
あいさつをして、職員室に入る。
ガラーンとしていたが、1人だけ教師がいた。
(あ、生活指導の男の先生だ。)
そう思ったら、相手の先生と目があった。
途端に先生は、嫌そうな顔で私に近づいてきた。
「始業式をさぼって、何やってるんだ?」
「え!?いえ!サボったのではなく・・・」
「多いんだよな。寝坊した生徒が、体育館に入りにくくて保健室に逃げることは?」
「違います!そんなんじゃないです!」
「とにかく、保健室に行くぐらいなら、もう帰っていいよ!1-Aの菅原だな?担任の井谷先生には俺から報告しておく。」
「え!?あの・・・!」
「みんなが帰ってくるまで、教室の前で立ってなさい。」
私の学年とクラスと名前を記録すると、シッシッと手で追い払う男性教師。
逆らっても、私には何の得にもならないので職員室から撤退した。
視線を感じて振り向けば、職員室の出入り口に吉田さんがいた。
(・・・ついて来たのか・・・)
目だけで吉田さんの方を見れば、心細そうに私を見ていた。
(仕方ない・・・『自前』にしよう。)
そう決めて、吉田さんの側まで近づき通り過ぎ際に小声で伝えた。
「ついてきてください。」
「・・・。」
相手は何も言わなかったけど、首を縦に振ってこたえてくれた。
だから、人通りの少ない道を選んで進んだ。
誘導する。
ほとんどだれも来ないと、『大親友』から聞いた、校舎裏へと移動した。


