彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



イライラを抑えながら、養護教諭の帰りを待つ。

時折、吉田さんの方を見る。

彼女はこちらを見ることなく、下を向いたまま動かない。

時々、痛々しい足をさすっている。


「痛っ・・・!」


反射的につぶやいてしまっているらしい苦痛の声。

それを聞いたら、たまらなくなった。


(・・・・・待てないな。)


自分のことなら我慢できるが・・・・・これは無理だ。


「ちょっと先生、呼んできますね。」

「え?す、菅原さん・・・」


一言、吉田さんに伝えてから保健室の前から移動する。


(これ以上待てるか!!)


待ちきれなくなり、職員室へ向かった。


「失礼します。」


あいさつをして、職員室に入る。

ガラーンとしていたが、1人だけ教師がいた。


(あ、生活指導の男の先生だ。)


そう思ったら、相手の先生と目があった。

途端に先生は、嫌そうな顔で私に近づいてきた。


「始業式をさぼって、何やってるんだ?」

「え!?いえ!サボったのではなく・・・」

「多いんだよな。寝坊した生徒が、体育館に入りにくくて保健室に逃げることは?」

「違います!そんなんじゃないです!」

「とにかく、保健室に行くぐらいなら、もう帰っていいよ!1-Aの菅原だな?担任の井谷先生には俺から報告しておく。」

「え!?あの・・・!」

「みんなが帰ってくるまで、教室の前で立ってなさい。」


私の学年とクラスと名前を記録すると、シッシッと手で追い払う男性教師。

逆らっても、私には何の得にもならないので職員室から撤退した。

視線を感じて振り向けば、職員室の出入り口に吉田さんがいた。


(・・・ついて来たのか・・・)


目だけで吉田さんの方を見れば、心細そうに私を見ていた。


(仕方ない・・・『自前』にしよう。)


そう決めて、吉田さんの側まで近づき通り過ぎ際に小声で伝えた。


「ついてきてください。」

「・・・。」


相手は何も言わなかったけど、首を縦に振ってこたえてくれた。

だから、人通りの少ない道を選んで進んだ。

誘導する。

ほとんどだれも来ないと、『大親友』から聞いた、校舎裏へと移動した。