彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



驚く私以上に、吉田さんは狼狽(ろうばい)する。


「な、なんで・・・!?始業式、は・・・?」

「あ・・・気分が悪くなったから、保健室へ行く途中で・・・」

(さすがに締め出されたとは言いずらい・・・。)

「大丈夫?」


制服はもちろん、顔も汚れていた。

土の地べただから、座り込めば当然だけど・・・


(こりゃ、リンチされて汚れた感じだな・・・)


『凛道蓮』目線で察する。

手足にちらほらと、すり傷がついていた。

手当てが必要だと思う。


(とはいえ・・・渕上に目をつけられている私が、これ以上彼女に構うのはよくない。)


そう判断して、持っていたハンカチを吉田さんの膝に置く。


「使って。」

「え!?」

「それ、使い捨ててくれていいから。私と一緒にいるところを見られたら、吉田さんに迷惑がかかるから、もう行くね。」


手を出すのはここまで。

これ以上は関わらない方が良い。


「私、保健室には行かないから、吉田さんが行って下さい。さよなら。」


相手が何か言う前に立ち去る。

急いで背を向けて、速足で動いたのだけれど。


「待って!!」

「わ!?」


背後から抱き付かれる。


「よ、吉田さん!?」

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!あなたには・・・ずっと謝りたくて・・・ひどいことを言って、ごめんなさい・・・!」

「え?」

「は、話!少しだけでいいから・・・話を聞いて!話し相手になって・・・!」


ボロボロ泣きながら見上げられる。

懇願される。



「・・・・・・場所を変えましょう。ここは目立ちます。」

「え!?い、いいの?」

「保健室で、怪我の手当てをしましょう?」

「い、いや!保健室は――――!」

「どうして?」

「さっきの・・・保健室で寝るって、言ってたから・・・」

「それは行かない方がいいですね。とりあえず、制服の汚れを落としましょう?人目につかない場所で。ね?」

「うっ、うぅ―――――――・・・・・!」


そう言えば、吉田さんが首を縦に振る。

何度もうなずく彼女の口から嗚咽が漏れる。

そんな相手の姿に、いろいろ思うところはあったけど・・・



(長居は無用。)

「行きましょう。」



出来るだけ優しく、小さな声で言ってから、吉田さんを助け起こす。

そして、周囲を警戒しながら保健室へと向かった。