驚く私以上に、吉田さんは狼狽(ろうばい)する。
「な、なんで・・・!?始業式、は・・・?」
「あ・・・気分が悪くなったから、保健室へ行く途中で・・・」
(さすがに締め出されたとは言いずらい・・・。)
「大丈夫?」
制服はもちろん、顔も汚れていた。
土の地べただから、座り込めば当然だけど・・・
(こりゃ、リンチされて汚れた感じだな・・・)
『凛道蓮』目線で察する。
手足にちらほらと、すり傷がついていた。
手当てが必要だと思う。
(とはいえ・・・渕上に目をつけられている私が、これ以上彼女に構うのはよくない。)
そう判断して、持っていたハンカチを吉田さんの膝に置く。
「使って。」
「え!?」
「それ、使い捨ててくれていいから。私と一緒にいるところを見られたら、吉田さんに迷惑がかかるから、もう行くね。」
手を出すのはここまで。
これ以上は関わらない方が良い。
「私、保健室には行かないから、吉田さんが行って下さい。さよなら。」
相手が何か言う前に立ち去る。
急いで背を向けて、速足で動いたのだけれど。
「待って!!」
「わ!?」
背後から抱き付かれる。
「よ、吉田さん!?」
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!あなたには・・・ずっと謝りたくて・・・ひどいことを言って、ごめんなさい・・・!」
「え?」
「は、話!少しだけでいいから・・・話を聞いて!話し相手になって・・・!」
ボロボロ泣きながら見上げられる。
懇願される。
「・・・・・・場所を変えましょう。ここは目立ちます。」
「え!?い、いいの?」
「保健室で、怪我の手当てをしましょう?」
「い、いや!保健室は――――!」
「どうして?」
「さっきの・・・保健室で寝るって、言ってたから・・・」
「それは行かない方がいいですね。とりあえず、制服の汚れを落としましょう?人目につかない場所で。ね?」
「うっ、うぅ―――――――・・・・・!」
そう言えば、吉田さんが首を縦に振る。
何度もうなずく彼女の口から嗚咽が漏れる。
そんな相手の姿に、いろいろ思うところはあったけど・・・
(長居は無用。)
「行きましょう。」
出来るだけ優しく、小さな声で言ってから、吉田さんを助け起こす。
そして、周囲を警戒しながら保健室へと向かった。


