〈オーナー、いけませんよ。〉
〈黙ってろ雇われもん!〉
部下の制止を振り切り、ギラギラした目で男はしゃべる。
〈なぁ、LINE交換しようぜ?てか、今から飯にでも行かねぇか?〉
浮ついた声に、カンナさんから大きなため息が響く。
〈大河、可児!話は終わりらしいぞ!〉
〈そうだな!〉
〈帰らせてもらうぜ!〉
カンナさんの怒鳴り声に合わせ、名前を呼ばれた2人も答える。
(良かった・・・これで話は終わった。)
ホッとしたのもつかの間。
〈待って下さい。〉
美涼が再び口を開いた。
(引き止める気!?)
その声にドキッとしたけど、美涼が発した言葉に驚いた。
〈忘れ物ですよ。〉
〈あん!?あたしらに忘れもんはねぇーぞ!?〉
〈あります。本日の交通費です。〉
そう言って、数枚の封筒を机の上に置く。
(交通費!?)
ということは、あの封筒の中身は・・・・・お金?
そう思った時、カンナさんの声がさらに不機嫌になった。
〈はぁあ!?いらねぇーよっ!!〉
〈時は金なりです。たくさんあって困るものじゃないですよ。〉
〈てんめぇ~・・・!!マジでムカつくわ!!次姿見せたら、ぶっ殺すからな!?〉
激高に近い声で怒鳴ると、お金が置かれたテーブルをガン!!と蹴り飛ばす。
〈マジで凛を連れてこなくてよかったぜ!!〉
そう言いながら、レジで固まっている人の前に伝票と1万円札を1枚叩きつけて出ていくカンナさん。
〈お、おい!待てよ、カンナ!お前がまとめて払うことねーっての!〉
〈だよな。だからと言って、こいつらにおごってもらうのはもっとごめんだぜ。〉
慌ててカンナさんを追いかける悠斗君と、ゴミを見る目で美涼たちの横を通過する秀君。
もちろん彼らも、机の上のお金には目もくれない。


