「なにしてるの、みんな!早く体育館に移動しなさい!」
怒鳴り声をあげながら、担任が教室に顔を出す。
「移動してないのは、うちのクラスだけですよ!?」
「はーい、井谷先生!ほら~菅原さんのせいで怒られた!」
「ホント菅原さん、協調性がなーい!」
(なんで私を出す!)
ムッとしたら、ムッとした顔で担任が近づいてきた。
「菅原、新学期早々、クラスの輪を乱すのはやめなさい。あまり目立つようなら、内申点もあきらめた方がいいわよ!?」
「そんな!私は何も・・・」
「ちょっとーさっさと教室から出てよ、菅原さん!カギしめられない!」
「井谷先生まで巻き込むとか、ホントに迷惑だよね~」
「え!?なっ!?」
気づけば、私と担任だけが教室にいた。
入り口では、ニヤニヤ顔の鳥海と難波がカギをチラつかせながら見ていた。
「菅原、さっさと出なさい!」
「っ・・・!すみません・・・!」
ムカつきながら謝り、素早く教室を出る。
「やっと鍵かけれるよ~」
「気をつけてね、菅原さん?」
「もー気をつけて!」
「気―をーつーけーて!」
バシバシ!
「うっ!?」
冗談風な口調で、数人がかりで私の背中を叩く。
思いっきり叩かれたので、バランスを崩して前へとこけてしまった。
「い、痛!?」
「きゃははは!オーバーリアクションだ!」
「わざとらしいね~」
「被害者ぶって気持ち悪ーい!」
座り込む私を笑い者にしながら言ってしまうクラスメート達。
「いつまで座り込んでるの!?大げさですよ、菅原!!」
「井谷先生・・・」
私が暴力に近い攻撃を受けても、私が悪いみたいに言う女教師。
「まったく、わざとらしいことばかりして!入学した時は、まともだと思っていたけど、ずいぶん悪い方に変わったものね!?」
私をにらみながら、通り過ぎる担任を見て思う。
(あんただって、変わったよ。)
性格とかは、入学式のままだけど、その口の利き方が変わった。
(呼び捨てで呼ぶようになってる・・・)
いや、もともと、こういうクソな性格だったんだろう。
人間の本質は変わらない。
いじめられるようになってからわかったことがある。
(教師=善人はウソだ。)
筆記試験で点数を取って、面接でも聖職者らしいことを言えば、誰でも合格できるだけの話。
それが社会の仕組みなのだ。
大人の本性を知ることが出来ただけでもラッキーだと思いながら立ち上がる。
みんなから遅れたけど、私も始業式が行われる体育館へと向かった。


