彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「なにしてるの、みんな!早く体育館に移動しなさい!」


怒鳴り声をあげながら、担任が教室に顔を出す。


「移動してないのは、うちのクラスだけですよ!?」

「はーい、井谷先生!ほら~菅原さんのせいで怒られた!」

「ホント菅原さん、協調性がなーい!」


(なんで私を出す!)


ムッとしたら、ムッとした顔で担任が近づいてきた。


「菅原、新学期早々、クラスの輪を乱すのはやめなさい。あまり目立つようなら、内申点もあきらめた方がいいわよ!?」

「そんな!私は何も・・・」

「ちょっとーさっさと教室から出てよ、菅原さん!カギしめられない!」

「井谷先生まで巻き込むとか、ホントに迷惑だよね~」

「え!?なっ!?」


気づけば、私と担任だけが教室にいた。

入り口では、ニヤニヤ顔の鳥海と難波がカギをチラつかせながら見ていた。


「菅原、さっさと出なさい!」

「っ・・・!すみません・・・!」


ムカつきながら謝り、素早く教室を出る。


「やっと鍵かけれるよ~」

「気をつけてね、菅原さん?」

「もー気をつけて!」

「気―をーつーけーて!」

バシバシ!

「うっ!?」


冗談風な口調で、数人がかりで私の背中を叩く。

思いっきり叩かれたので、バランスを崩して前へとこけてしまった。


「い、痛!?」

「きゃははは!オーバーリアクションだ!」

「わざとらしいね~」

「被害者ぶって気持ち悪ーい!」


座り込む私を笑い者にしながら言ってしまうクラスメート達。


「いつまで座り込んでるの!?大げさですよ、菅原!!」

「井谷先生・・・」


私が暴力に近い攻撃を受けても、私が悪いみたいに言う女教師。


「まったく、わざとらしいことばかりして!入学した時は、まともだと思っていたけど、ずいぶん悪い方に変わったものね!?」


私をにらみながら、通り過ぎる担任を見て思う。



(あんただって、変わったよ。)



性格とかは、入学式のままだけど、その口の利き方が変わった。


(呼び捨てで呼ぶようになってる・・・)


いや、もともと、こういうクソな性格だったんだろう。

人間の本質は変わらない。

いじめられるようになってからわかったことがある。



(教師=善人はウソだ。)



筆記試験で点数を取って、面接でも聖職者らしいことを言えば、誰でも合格できるだけの話。

それが社会の仕組みなのだ。

大人の本性を知ることが出来ただけでもラッキーだと思いながら立ち上がる。

みんなから遅れたけど、私も始業式が行われる体育館へと向かった。