彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「『誰に』叩かれたとか、聞かないよ。すがちゃんが話してくれるまで待つよ。わかってるから。」

「え?」

(いや、わかってないよ!?)



よっちゃんが考えてる相手と、私を負傷させた相手は違ーう!



「だからツラい時はいつでも言ってね?私達、友達なんだから?」

「・・・ありがとう。」



よっちゃんからの予想外の励ましに、複雑な思いで感謝の言葉をのべる。

いじめっ子にやられたと思っているよっちゃんは、優しく私を慰めてくれた。



(いつまでも、この問題、長引かせるわけにはいかないよね?)



一方的にやられて我慢するのも、いい加減うんざりした。



(なによりも、私以外が・・・優しい友達まで、こんな嫌な思いをさせ続けたくない。)



そんな思いが芽生え(めばえ)はじめていた。



「お礼を言うのは、私の方だよ?私、すがちゃんのおかげで助かったんだから。」

「え?」

「うちのクラスの渕上さん派閥にいじめられて、1人ぼっちになってる私に、菅ちゃんは声をかけてくれた。ひどいこと言った私を許してくれて、こうやって一緒に過ごしてくれる。すがちゃんは、すごく優しくていい人だよ。」

「そんな・・・私こそ、よっちゃんが一緒にいてくれることが―――――」

「一緒にいることが?」



うながし、答えを求める相手に、照れくさい気持ちで伝えた。



「・・・・・・嬉しい。」

「やったー!!」

ガバ!

「わわっ!?」



私の言葉に、満面の笑みで抱き付いてくるよっちゃん。

わわっ!?近い近い!



〔★ソーシャル‐ディスタンス違反だった★〕



瑞希お兄ちゃん以外でこの近さ・・・ますみちゃんみたいな・・・

でも、清潔ないい匂いがして~あ、今の私、汗臭くないかな!?



動揺しながら相手を見れば、ご機嫌な顔と声で言われた。



「嬉し~私、信頼されてるんだね!?友達認定してもらえてるんだね!?そう思って、いーい?」

「う、うん・・・いいです・・・」

「ありがとーすがちゃん!大好き!!」



ギューと抱きしめられ、好きだと言われ、胸がポカポカした。



(こ、これが友達の距離?スキンシップなのかな・・・??)



戸惑いは強かったけど、それと同じくらい嬉しかった。