「『誰に』叩かれたとか、聞かないよ。すがちゃんが話してくれるまで待つよ。わかってるから。」
「え?」
(いや、わかってないよ!?)
よっちゃんが考えてる相手と、私を負傷させた相手は違ーう!
「だからツラい時はいつでも言ってね?私達、友達なんだから?」
「・・・ありがとう。」
よっちゃんからの予想外の励ましに、複雑な思いで感謝の言葉をのべる。
いじめっ子にやられたと思っているよっちゃんは、優しく私を慰めてくれた。
(いつまでも、この問題、長引かせるわけにはいかないよね?)
一方的にやられて我慢するのも、いい加減うんざりした。
(なによりも、私以外が・・・優しい友達まで、こんな嫌な思いをさせ続けたくない。)
そんな思いが芽生え(めばえ)はじめていた。
「お礼を言うのは、私の方だよ?私、すがちゃんのおかげで助かったんだから。」
「え?」
「うちのクラスの渕上さん派閥にいじめられて、1人ぼっちになってる私に、菅ちゃんは声をかけてくれた。ひどいこと言った私を許してくれて、こうやって一緒に過ごしてくれる。すがちゃんは、すごく優しくていい人だよ。」
「そんな・・・私こそ、よっちゃんが一緒にいてくれることが―――――」
「一緒にいることが?」
うながし、答えを求める相手に、照れくさい気持ちで伝えた。
「・・・・・・嬉しい。」
「やったー!!」
ガバ!
「わわっ!?」
私の言葉に、満面の笑みで抱き付いてくるよっちゃん。
わわっ!?近い近い!
〔★ソーシャル‐ディスタンス違反だった★〕
瑞希お兄ちゃん以外でこの近さ・・・ますみちゃんみたいな・・・
でも、清潔ないい匂いがして~あ、今の私、汗臭くないかな!?
動揺しながら相手を見れば、ご機嫌な顔と声で言われた。
「嬉し~私、信頼されてるんだね!?友達認定してもらえてるんだね!?そう思って、いーい?」
「う、うん・・・いいです・・・」
「ありがとーすがちゃん!大好き!!」
ギューと抱きしめられ、好きだと言われ、胸がポカポカした。
(こ、これが友達の距離?スキンシップなのかな・・・??)
戸惑いは強かったけど、それと同じくらい嬉しかった。


