彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




学校中の視線が痛い。

実力テストが行われたのだが、集中するのが大変だった。

周りの目もそうだが、一番困ったのは―――――――



「どうしたの、すがちゃん!?その顔!?」

「ちょ、ちょっと転んじゃって・・・。」

「どんな転び方!?本当のことを教えて!?友達でしょう!?」



私を心配する友達を、どう誤魔化すかということだった。

午前のテストを終えた昼休み、体育館裏で吉田さん改め、よっちゃんと一緒にお昼ご飯を食べるために待ち合わせていた。

先に待っていたよっちゃんは、私を見るなり、ギョッする。

そして一直線で私の元まで近寄って来ると、真っ先に頬へと触れる。



「大丈夫!?すごく腫れてる!」



その瞬間、ピリッとした痛みが頬に走る。




「痛っ!?」

「あ!?ごめん!!」

「い、いいよ。」



本当は良くないけど、大丈夫だと伝える。

心配そうに触ってきたよっちゃんを、安心させるためにそう言った。

そんな私に、悲しそうな顔でよっちゃんは言う。



「その顔・・・渕上さん達に・・・?」

「え?あ!いや、これは~!」



渕上ではない。



(セクシーダイナマイトだよ。)



そう言えればいいのだけど・・・



(てか、よっちゃんなら、るかさんのことを知ってるはず・・・一緒にいたし・・・)



どんな関係なのか、聞きたいところだけど―――――



(凛道蓮で遭遇してるからな・・・)



見かけたのは変身後の姿。



〔★菅原凛ではなかった★〕



とはいえ、このまま知らん顔はできない。



(るかさんと一緒だったんだから・・・)



見なかったことにはできない。

適当に理由付けて、聞いてみればいい。

よっちゃんも、理不尽な扱いを受けていたらと思うと、居ても立っても居られなくなったので聞くことにした。



「よっちゃん。」

「言わなくてもわかってるから。」

「え!?」



覚悟を決めて名前を呼んだ私に、彼女は笑顔で告げる。