彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「やめて下さい!僕は気にしてませんし、瑠華さんから謝罪をもらおうと思ってませんので、大丈夫です!?」

「だよな~凛たん♪」

「ああん?んだよ、凛?俺が間違ってるって言ってんのか?」

「とんでもないです瑞希お兄ちゃん!!瑞希お兄ちゃんのお気持ちは嬉しいですが、僕が無意識で、瑠華さんの地雷を踏んだ可能性もありますので~!それに瑠華さんの性格なら、彼女が落ち着いたら、こちらにコンタクトを取ってくるかもしれないじゃないですか!?」

「『二度と近寄るな、ゴミやろうっ!!!』って、言われたのにか?」

「女心は秋の空と言うじゃないですか!?」

「・・・チッ!お人好しのばかが・・・!」



舌打ちしながら瑞希お兄ちゃんは言う。



「つまり、『ふじこ』こと鳴海瑠華本人の口からは、凛への正式な謝罪の言葉が出ていないってことでいいんだな?」

「ああいうタイプは時間かかるんだよ。」

「わはははは!結果的にゃ、逃げ帰ってきたことには変わりねぇわけかよぉ~!?」

「本当に最低な巨乳女ね!?自分の不始末を、他人に謝罪させるなんて!生理があるからって、何様なのよ!?」

「モニカ、世の中の半分は生理持ちだぞ?女のペースに飲まれてるじゃないか、烈司?もちろん、このままで終わらせるつもりはないな?」

「どうなんだ、烈司?鳴海瑠華に洗いざらい吐かせる『アテ』はあんのか?」

「ある。」



瑞希お兄ちゃんの問いに、烈司さんは断言した。



「直接、凛たんへ謝罪させられる。時間がかかるが、少し待ってくれ。」

「そうかよ。けど、その言葉を言う相手が違うだろう、烈司?」

「わかってる!つーことで、ごめんな、凛たん・・・今夜は怒りを抑えてくれ。」

「怒りも何も、僕は大丈夫ですから。」

「マジで?烈司さんに気を遣ってない?」

「遣ってません。むしろ、僕の方が皆さんに気を遣わせてしまって・・・すみません。」



本当に、怒りとかという感情はない。

あえて表現するとしたら、『とまどい』という気持ちがあるのみ。