電話を切りながら烈司さんがぼやく。
「たく・・・凛たんのことになると、瑞希は人が変わるから困るぜ。」
「オメーらに言われたくねぇよ!!」
「そんなことよりも烈司、脱線した話に戻れ。女の話は終わりか?。」
「そんなことってなんだ、伊織!?」
「はいはい、落ち着いて!みーちゃん!」
「わはははは!出前が来るまでに話せや!!」
「そのつもりだ。瑞希もそれで、文句ないなー?」
「くっ・・・!あるけどねぇーよ、ボケ!さっさと話せ!」
「OK。凛たんも、質問あったら最後によろしく~話し続けるぜ~?」
「わ、わかりました。」
うなずけば、私の頭を撫でてから烈司さんは言った。
「ハッキリ言って、わかったことは、さっき話したことのみ。凛たんを平手で叩いた理由を、常連の大原会長さんが聞いても、雇用主が聞いても口を割らねぇ。謝る姿勢があるかと言えば、治療費と慰謝料を払うの一点張り。」
「情報が少ねぇーぞ、烈司。大原の会長も同じこと言ってたぞ?」
「ああ。ぶっちゃ粘ったところで、時間の無駄になるのは目に見えてたから、会長に免じて今夜は引き揚げてきた。」
「はあ?何カッコつけてんだテメーは?」
烈司さんの言葉に、瑞希お兄ちゃんの声が低くなる。
「テメー?ガキの使いじゃねぇんだぞ?はいそうですか、アッサリ引き下がって帰ってきたってことかよ・・・!?」
「じゃあ聞くけどよ、瑞希ー反省もしてない奴から、形だけの謝罪を無理やり取ってくれば、凛たんが満足するって言うのかよ?上っ面だけの詫びを聞いて、オメーも納得できんのか?」
「できねぇーが、自主的に謝りたくなるように追い込むことはできただろーが?」
「はあ?俺に強制ドSしろってんのか?」
「テメー、凛のこの姿見て、何とも思わねぇのか?」
「そんなに言うなら、自分でしろよ、瑞希?俺は騒ぎが大きくならないようにしただけだ。」
「ああ!?舐めた口の利き方するじゃねぇか!?」
「どっちがだ、コラ。」
「ちょ、やめて下さい!!」
2人の間の空気がヤバくなったので、慌てて止めに入る。


