「瑞希お兄ちゃん・・・?」

「凛のほっぺを冷やすタオルを変えてくるわ。」

「逃げないで下さい!」



私から目をそらして移動しようとする人を引き留めながら訴える。




「教えてください!どういうことですか!?」

ガタン。

「え?」




物音をした方を見れば、




「モニカちゃん!」



洗面所に続く出入り口に、不自然な姿で固まるオネェさんがいた。



「モニカちゃん!今の話、聞いていたのですか!?何かご存じですか!?」



私の問いかけに彼女は、こちらを見たまま、後ろ歩きで視界から消えていく。



「逃げないで下さいっ!」

「帰って来い、オメー!」



〔★モニカは、ザリガニのように逃走した★〕





「あれは絶対に何か知ってる!?そうなんでしょう、瑞希お兄ちゃん!?」

「あーえーどうだろうな~」

「お兄ちゃんてば!!」

ガタン。

「え?」




瑞希お兄ちゃんを問い詰めていれば、別の物音がした。

そちらの方向を見れば、




「獅子島さん!」



和室に続く出入り口に、不自然な姿で固まる獅子島さんがいた。



「獅子島さん!今の話、聞いていたのですか!?何かご存じですか!?」



私の問いかけに彼は、こちらを見たまま、後ろ歩きで視界から消えていく。



「逃げないで下さいっ!」

「帰って来い、オメー!」



〔★伊織は、前けい骨筋(ぜんけいこつきん)が鍛えながら逃走した★〕





「あれは絶対に何か知ってる!?そうなんでしょう、瑞希お兄ちゃん!?」

「あーえーどうだろうな~」

「お兄ちゃんてばっ!!」

ガタン。

「え?」



瑞希お兄ちゃんを問い詰めていれば、また別の物音がした。

そちらの方向を見れば、




「百鬼さん!」



外に続く出入り口のガラス越し、仁王立ちした百鬼さんがいた。



「百鬼さん!今の話聞い――――――――――!?」

「わはははは!!」

「百鬼さん!?」



いきなり近づいいてきたと思ったら、タックルされる。



「わははは~ラ~グービー!!」

「ええ!?」



私を小脇に抱えると、一気に加速する。




「凛!?」

「お兄ちゃーん!」

「トラーイ!!」

「あー!?」

ボフン!!




そう言いながら、私をフカフカの長椅子のソファー席にたたきつけた。



「おい!皇助!!」

「5点ゲットだぜ~!わはははは!!」



私が見上げた時、奴はその場でムーンウォークをしていた。




「俺様は逃げねぇ!わはははは!!」

「凛をボールにして、プレイしてんじゃねぇーよ!!」



〔★皇助は逃走しなかった★〕