〈むなちゃんに、おじさんが聞きだすって言って帰らせた手前、粘ったんだが・・・とにかく、チョコちゃんには必ず謝罪させるからな!?頭を下げさせるから!〉

「い、いえ!本当にそこまでしてしてもらうのは・・・」

〈うやむやにするのはよくないだろう?〉

「そうですが・・・」



言葉を濁した時、その声は上がった。



「会長ぉ、うちの凛と『ふじこ』にからんできた3人組と、龍志と亜都司って男達のことについて『ふじこ』はしゃべったんすかぁー!?」

「お兄ちゃん!?」



私の携帯に向かって呼びかける瑞希お兄ちゃん。



〈あ、サナちゃん?なんだよ、スピーカーで聞いてたのか~良いお兄ちゃんしてるじゃねぇーか、このブラコ~ン!〉

「どうなんすか?3人組と、2組の身元は?」

〈2人組のりゅうたろうだか、あつもりだかは知らんが、ピアスの3人組には見覚えがあった。ありゃあ、今年の春にこの近所に出来た『GREAT STAGE(ぐれいとすてーじ)』の店員だぜ!〉

「『GREAT STAGE(ぐれいとすてーじ)』?」

〈おう!ほれ、サナちゃんには話してただろう!?例のー〉

「会長ぉ!!ここでその話はー」

〈わしだってしたくはなかったぜ?けどな、どうも黒確定で悪そうなんだよなぁ~・・・・〉



そう語る会長さんの言葉がすべてを語っていた。



「そこ、よくないお店なんですか?」

〈・・・まぁその、チョコちゃんには嘘はつけんから言うが・・・被害者がいるんだが、その数の見当がつかないんだ・・・〉

「え!?被害者の数がわからない!?」

「だーから!凛にはしゃべらねぇでくれって!」

〈がははは!隠しても無駄無駄!うちとしては、町内パトロールで動こうかどうかってところなんだ!ただ・・・内容が内容なだけに、どう動けばいいか困っててな・・・〉

「どんな内容なんですか?」

〈聞きたがるのはいいが、チョコちゃんは関わるんじゃないぞ?お兄ちゃん達に任せて、安静にしてなさい。〉

「そんな、会長さん!?」

〈じゃあな、チョコちゃん!また遊びにおいで!〉



こちらからの別れ言葉を待たずして、切り上げるようにして切れてしまった電話。