彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「凛、今日はお父さんもお母さんも遅くなるから、先にご飯食べちゃってね?」

「わかった。もしかしたら、友達とテスト勉強会するから、私も遅くなるかもだけど。」

「あら、前に話してた夏休み中に学力が下がってないか確かめる、新学期最初の学力テストの勉強会のこと?」

「うん。」

「だったら、夕食は作らないでお金を渡しておくわね。みんなと何か食べなさいね?」

「え?お弁当作っていくからいいよ。持ち寄りみたいにしようって話してるから。」

「だめよ!お弁当作る時間がもったいないわ!凛もお友達も!勉強時間にあてなさい!はい、お金!」

「・・・ごめん、お母さん。」

「そこはありがとうだぞ、凛?ほら、お父さんからもだ。甘い物を買って、糖分をしっかりとるんだぞ?おつりは、お小遣いにしていいからな!」

「ありがとう、お父さん。お母さんも、本当にありがとう・・・。」

「いいのよ。どういたしまして。」

「しっかり勉強しておいで。」


両親から現金を受け取り、何とも言えない気持ちで微笑む。



(嘘ついてごめんね・・・)



友達と勉強なんてしない。

そもそも、私に友達なんていない。

菅原凛に友はいない。



(・・・おつりは返そう。)


使ったように見せかけて、それらしい金額は返そう。

嘘がバレないための工作。

使ったいう設定の金額は、私の意思を無視する両親への慰謝料として『預かって』おく。

お金のことで嘘をついていることへの罪悪感は消えないけど―――――


(外に方法がないでしょう?)


「ごちそう様!行ってきます!」

「いってらっしゃい、凛。」

「しっかり勉強してくるんだぞ?」

「はーい!」


無邪気な声を出しながら玄関を出る。

お父さんもお母さんも知らない。



(私に友達がいないことを。)



友達がいないことに気づいてないのだから、わかるはずがない。



(私がいじめられていることに。)



気づくのを待つべきか、自分の口から言うべきか。


まだその答えを出せずにいる。