ひとしき声をあげて笑ったところで瑞希お兄ちゃんが言った。
「マジでごめんな、ふじこちゃん。今夜は値段を気にせず、好きに飲み食いしてくれよ。」
「いいんですか、チョコちゃんのお兄さん?」
「俺よりも、そっちの眼鏡のお兄さんに~」
「許可する。」
「へぇ~いいのかよ、イオリン?」
「内容の是非は問うてない。元々、恵んでやるつもりだったからな。」
「ははは!そこはおごるって言ってくれよ~?瑞希、伊織はOKだってよ!」
「おう。つーことで、大丈夫だからよ、ふじこちゃん。」
「まぁ・・・すみません。ありがとうございます。あたし、けっこうずうずうしくしたのに・・・」
「わはははは!瑞希お兄ちゃんの方が大人げなかったから気にすんなよぉー!!」
「うるせぇー!言われなくても自覚してるわ!!いや、本当にマジで、ふじこちゃんのずうずうしいは可愛いもんだよ。俺は、弟のことになると、ついカッとなって~・・・」
「わかります。チョコちゃん、素直だから・・・このままきれいに育ってほしいですよね。」
「あら!・・・じゃなくて、ああ、そうだよ!良いこと言うじゃないか!?わかってるね、ふじちゃんは!?凛ちゃんは良い子なんだよ!」
「ええ、気づいてますよ~守りたくなるような一途さありますよね~」
「そうだよ、そうだよ!君とは気が合いそうだな~」
(なんかどんどん、仲良くなっていってる・・・)
カクテル言葉通り弾んでいく会話。
「じゃあみなさん、他にはご注文良いですか?」
「大丈夫だ。ふじこちゃんは何にしたんだ?」
「『エッグ・ビール』を頂きます。」
「エッグ・ビール??」
(って、なんだろう?)
名前のまんま、ビールに卵を入れてるの??
(困った時は、瑞希お兄ちゃん!)
視線を向けて目が合えば、優しい声で彼が答えてくれた。
「西洋版の卵酒だ。」
「卵酒!?」
(あ、意外と合ってた?予想通り?)
「風邪でもひいてるのか、ふじこちゃん?」
「いいえ、元気ですわ~」
瑞希お兄ちゃんの問いかけに、クスクス笑いながらお姉さんは言った。


