困惑する私をよそに、ふじこさんは、伝票を持った同僚のスリムなお姉さんに言った。
「じゃあ、しずちゃん、この坊やに『コンクラーベ』をお願~い♪ストロー付きで♪」
「え!?ちょ、る・・・ふじこさん!?」
「はーい、かしこまりました~♪失礼しまっすぅ~!」
ふじこさんの言葉に、元気よく答えるしずちゃんという名前らしいスリムキャストのお姉さん。
え!?オーダーされちゃった!?
(私の返事も聞かずに、頼んじゃう系!?)
なんかさっきも、似たようなことあったんだけど!?
〔★凛への問い合わせと承諾(しょうだく)がスルーされた★〕
(というか、どんな味のカクテルなの!?ミント入りだったら、私飲めないよぉ~)
「瑞希お兄ちゃん、コンクラーベって、どんなあ・・・?」
「『カギのかかった部屋』だ。」
「え?」
味がするの?と聞きたかったが、返ってきた返事は違うものだった。
「『コンクラーベ』のカクテル言葉は、『カギのかかった部屋』だよ。」
「え!?ノンアルコールなのに、カクテル言葉があるのですか!?」
「あるもんはある。あの姉ちゃん、凛の心をこじ開けよーって気かもしれねぇが、そうはさせねぇーぞ・・・!?」
「決めつけはよくないですよ!?」
「それもそうだな。俺もそこまでカクテル言葉に詳しくねぇし、『モクテル』のカクテル言葉自体、数が少ないからな。」
「そんなにないのですか?」
「俺が知らねぇだけかもな。そんな俺でもわかる、有名なやつだと――――――・・・」
そう言って言葉を止めると、ちょいちょいと私を手招きする瑞希お兄ちゃん。
反射的にお側に寄って、彼の口元に耳を近づけば、小声でささやかれた。
「『夢見る少女』の『シンデレラ』と、『用心深い』の『シャーリー・テンプル』と、『冷やかしの意味での若いお姉ちゃん、お嬢ちゃん』の『プッシー・キャット』がある。」
「そうなんですか・・・。ちなみに『コンクラーベ』って、どんな味なんですか?」
「甘口よ♪」
「「わっ!?」」
瑞希お兄ちゃんに聞いたのだが、答えてくれたのはふじこさん。
いきなり声をかけられたので、私も瑞希お兄ちゃんもビクッとした。
叫び声がそろっちゃったよ~♪まいったね~♪
〔★凛は嬉しそうだ★〕


