彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「よっし!烈司、行け!」

「了解♪」



瑞希お兄ちゃんの命令で、烈司さんが先陣を切って扉を開ける。

そこには、黒服を着た体格の良い男性が1人立っていた。



「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

「6名だ。あと、『ふじこ』の紹介もある。」

「『ふじこ』さん・・・ですか?」



私達を見て、その視線を一点に止めてから、黒服の男性が烈司さんに言った。



「お客様、申し訳ありませんが、当店は未成年の『女性客』の入店は禁止されております。」



(女性客?)



首をかしげる私の隣、瑞希お兄ちゃんを見ながら言う店員。



「そちらのお客様は、ご入店できません。」

「俺は男だっ!!馬鹿野郎ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「ええ!?」



(あ・・・お決まりの展開って、これ・・・?)



毎度のことだけど、キュートなイケメンが誤解を受けてしまった。



〔★恐れていた事態が起きた★〕



美しさゆえに起きた悲劇。

私の愛する人は、その手のトラブルには慣れていた。



「オラ見ろ!!これでもまだ、俺が女だっていうのか!?」



間違えたスタッフに、怒りながら免許証を見せる瑞希お兄ちゃん。



「オメーと同じ性別だろうがっ!!?」

「え・・・?え!?あ!?ほ、本当だ・・・じゃ、なかった!いえ!あの、申し訳ございませんでしたっ!!」

「そうだろうがっ!!?誰が女だテメー!?見た目で拒否しやがって!!」

「大変申し訳ございませんでした!!どうぞ、お入りください!!」

「じゃあ、入るぞ!?『男』だから問題ねぇな!?」

「は、はい!あ、ですが、そちらの子は~」



私を見ながら言葉をにごすスタッフに、もう一度瑞希お兄ちゃんがキレた。



「俺の弟っ!!!おーとーうーとっ!!女に見えるって!?」

「い、いえ!どうぞお入りくださいませ!!」



何か言いたそうだったけど、怒った瑞希お兄ちゃんの気迫に押されて何も言えないお店の人。



「本当に失礼致しました!こちらへ!」



すぐに、別のスタッフさんがきて、店内へと案内してくれた。