彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「オメーの要求の半分には答えたぞ、烈司。俺がリクエストカードを出す!」

「凛たん解放しただけじゃねぇーか?いいから貸せよ、瑞希。」

「俺がしきる!俺がもらったもんだぞ!?」

「アホ!もらったのは凛たんだろう?」

「指名は俺だったろうが!?」

「ガンコだねぇ~お前は?お決まりの展開になるから貸せって。なぁ、お願いお願ーい♪みーずーきーくーんっ♪」

「変な呼び方すんな!ほらよ。」



お茶目で顔と声で言う烈司さんに向けて、渋々、瑠華さんの名刺を渡すお兄ちゃん。

本当に変な呼び方だったけど、気になったのは別のこと。



(お決まりの展開ってなに?)



疑問を持ったまま、烈司さんを見れば、目が合った瞬間に笑いかけられた。



「ごめん、凛たん!瑞希の抱っこ終わらせて、怒ってるかな~?」

「え!?あ、あの、はい!」

「えー?そこはさ~ウソでもいいえって言ってよ?」

「ウソですが、いいえ、です。」

「凛たんの正直はいいけどさ、烈司さんのハートが傷つくわ。」

「凛ちゃん、帰ったら俺が抱っこしてあげるからな?」

「いえ、瑞希お兄ちゃんが良いです。」

「わっはっはっ!!言うなー!!」

「くそ!俺・・・今夜はフラれちまったか・・・」

「『今夜』ではなく、『今後』だろう、馬鹿者め。」

「そういうこと!そんじゃ、凛も、オメーらも・・・準備は良いか!?」



キリっと表情を引き締めた瑞希お兄ちゃんが問いかける。



「今夜に凛の今後がかかってる!キツネとタヌキの化かしい・・・狸のつもりで気合い入れて化かしあうぞ!?」

「「「「おう!」」」」

「・・・。」



キツネとタヌキの化かしい・・・

子供の時に、絵本で読んだあの『キツネとタヌキの化かしあい』のこと?

瑞希お兄ちゃんをあのタヌキに例えるのはイヤだ。



〔★ラストがムナクソ悪い★〕



いろいろ言いたいことはあったけど。



「凛、俺の横にいろ!離れるな!」

「はぁーい♪」

(無条件で瑞希お兄ちゃんの側に入れるから~いっか♪)



〔★凛は苦情を、なかったことにした★〕