「オメーの要求の半分には答えたぞ、烈司。俺がリクエストカードを出す!」
「凛たん解放しただけじゃねぇーか?いいから貸せよ、瑞希。」
「俺がしきる!俺がもらったもんだぞ!?」
「アホ!もらったのは凛たんだろう?」
「指名は俺だったろうが!?」
「ガンコだねぇ~お前は?お決まりの展開になるから貸せって。なぁ、お願いお願ーい♪みーずーきーくーんっ♪」
「変な呼び方すんな!ほらよ。」
お茶目で顔と声で言う烈司さんに向けて、渋々、瑠華さんの名刺を渡すお兄ちゃん。
本当に変な呼び方だったけど、気になったのは別のこと。
(お決まりの展開ってなに?)
疑問を持ったまま、烈司さんを見れば、目が合った瞬間に笑いかけられた。
「ごめん、凛たん!瑞希の抱っこ終わらせて、怒ってるかな~?」
「え!?あ、あの、はい!」
「えー?そこはさ~ウソでもいいえって言ってよ?」
「ウソですが、いいえ、です。」
「凛たんの正直はいいけどさ、烈司さんのハートが傷つくわ。」
「凛ちゃん、帰ったら俺が抱っこしてあげるからな?」
「いえ、瑞希お兄ちゃんが良いです。」
「わっはっはっ!!言うなー!!」
「くそ!俺・・・今夜はフラれちまったか・・・」
「『今夜』ではなく、『今後』だろう、馬鹿者め。」
「そういうこと!そんじゃ、凛も、オメーらも・・・準備は良いか!?」
キリっと表情を引き締めた瑞希お兄ちゃんが問いかける。
「今夜に凛の今後がかかってる!キツネとタヌキの化かしい・・・狸のつもりで気合い入れて化かしあうぞ!?」
「「「「おう!」」」」
「・・・。」
キツネとタヌキの化かしい・・・
子供の時に、絵本で読んだあの『キツネとタヌキの化かしあい』のこと?
瑞希お兄ちゃんをあのタヌキに例えるのはイヤだ。
〔★ラストがムナクソ悪い★〕
いろいろ言いたいことはあったけど。
「凛、俺の横にいろ!離れるな!」
「はぁーい♪」
(無条件で瑞希お兄ちゃんの側に入れるから~いっか♪)
〔★凛は苦情を、なかったことにした★〕


