「店から出てくる客の表情も満足もんだ。接客も良いんだろうよ。人の出入りも多めで・・・特にニオイが・・・『空気』が悪くねぇな・・・・」
「だから言っただろう~?優良店だって?」
そんなかけ声と共に、背後から聞きなれた声がした。
「烈司さん!」
「早かったな、烈司。」
「瑞希には負けるぜ?なぁ~凛たん?」
私ごと振り返った瑞希お兄ちゃんに、烈司さんがさわやかに笑いかける。
「あわてんぼうのお兄ちゃんを許してくれよ、凛たん?凛たんがいると、張り切るみたいなんだよな~?」
「わりぃかよ?」
「悪いな。俺と瑞希を差し引いても、凛たんと仲良くしたいもんは、他にもいるからよ?そうだよなー?」
そう言って、烈司さんが振り返った先には――――――――――
「「「その通り!」」」
声をそろえて同意する、モニカちゃんと獅子島さんと百鬼がいた。
そんな3人に、呆れながら瑞希お兄ちゃんは言った。
「オメーら、凛がいるといないとじゃ、差がありすぎんぞ?」
「当たり前だろう?凛ちゃんは特別なんだ。」
瑞希お兄ちゃんの言葉にそう言って答えたのが、男モードのモニカちゃん。
「『俺』も凛ちゃんと仲良くしたいんだぜ?瑞希ばかり、凛ちゃんを独り占めにするなよ?」
「モニカ、ブラコンには言うだけ無駄だ。」
「わるかったな、ブラコンで!俺は保護者もしてんだよ!」
「わはははは!久々に、バーのギャルとは遊べるぜぇー!!飲み放題だぜー!!」
「皇助、おごりだからって、吐くまで飲むなよ!つーか伊織は、マジで酒飲まないのか?つーか?」
「飲まん。酒代は出してやる。その代わり、後で『駐車料金』は徴収する。『凛道以外から』割り勘でな。」
「「「しっかりしてるぅ~」」」
「本当ですね・・・」
「わははははは!!」
そんなやり取りをしながら、1歩、また1歩・・・お店の入り口への距離が縮まっていく私達。