「瑞希お兄ちゃんが、あのセクシーな瑠華さんのところに行くって言うから!!」

「俺はその瑠華って女に、未成年にこんなもん渡すなって言いに行くだけだよ!」

「瑞希~凛たん~お店では、瑠華じゃなくて、『ふじこ』って呼べよ~」

「客は源氏名しか知らん。本名で呼べば、個人情報の罰則を受けるぞ。」

「わはははは!その姉ちゃんが店で人気者ならなおさらだぜ!!」

「そーよ!こういう系のお店、ストーカーが多いんだから!」

「そうなんですか!?」

「わかってるよ!説教したら帰る!」

「説・・・!?やめて下さい!MESSIAHの件での協力者だって言いましたよね!?」

「それとこれとは別の話だ!凛を勧誘するのは違うだろう!?」

「だから~僕じゃないです!!瑞希お兄ちゃんを勧誘するためであって~~~~あ!?お兄ちゃん、ガールズバーでナンパしないでください!彼女、作りませんよね!?」

「するかっ馬鹿っ!!何度違うっていわせんだよ!?つーか、飲み屋の女と客で簡単にカップルになるかっ!?烈司の知ってる店だからよかったものを~!!一言文句を言ってやる!凛にはまだ早いってな!?」

「そんな・・・!?」

「オラ、入れ!」

「あー!?ちょっと!?」



そう言うなり、私を車の二列目に押し込む瑞希お兄ちゃん。

バランスを崩した状態で、座席に転がったけど―――――



「捕まえた!」

「モニカちゃん!?」



キレイなオネェさんがキャッチしてくれた。



「凛ちゃん、逃がさないわよ!?」

「いや、僕は逃げる気なんて~!」

「だったらジタバタすんな、凛!」



強引に瑞希お兄ちゃんが、私の座りにとなってドアを乱暴に閉める。



「でっぱるぞ、伊織!烈司、ナビは任せた!」

「大声出さんでもわかってる。」

「瑞希~凛たんにシートベルトつけろよ~」

「わははははは!面白くなってきたぜー!!」

「全然楽しくないですよぉー!?」



冷静な獅子島さんの運転で車がガレージを出る。



(だめだ・・・大変なことになるのを、止められない・・・・!!)



開店前の時間を使って、『レディキラー』と呼ばれるアルコールカクテルの知識を得てしまった。