リアクションに困って固まっていれば、それに気づいた瑞希お兄ちゃんが、あ、と声をもらす。
「わりぃ、凛!数字で言われてもピンとこねぇーか?」
「・・・すみません。勉強不足で・・・」
(せめて、どこからが・・・・アルコール濃度の高い数値になるのかの・・・目安がわかれば・・・!)
「瑞希、比較対象となる例をあげて話してやらんと、酒を飲まん凛道にはわからんぞ。」
「伊織。」
「獅子島さん。」
しょんぼりしながら謝る私に、いつもは冷たい獅子島さんが珍しく声をかけてくれた。
「凛道、一般的に親しまれているビールのアルコール度数を知っているか?」
「し、知らないです!すみません!!」
「謝罪いらん。国内で販売している日本製のビールは、銘柄ごとに差があるとはいえ、比較すると5%前後とされている。」
「『5%』!?」
「よって比較すると、『クレーム・ド・カカオ』はビールの約5.8倍強い酒であると言える。」
「強すぎますね!?」
〔★日本で販売中のビールのアルコール度数は、4~5.5度程度となっている★〕
私のお父さんがビール飲んでるから、ビールを例に出してもらえてよかった。
ビールが1ケタなのに、『クレーム・ド・カカオ』が2ケタって!?
高いよ29度!別名、29%!!
「それは一気に飲むと、危険ですよ!?急性アルコール中毒になりませんか!?」
「可能性はある!」
「瑞希お兄ちゃん!」
そう断言したのは、眼鏡の先輩ではなく、私の愛するお方。
「だから凛も、大人になって飲むことになったら気をつけろよ!?甘いから、飲みやすいからって、一気に飲むなよ!?ど~~~しても、酒を飲まなきゃならなくなった時は、警戒しながらゆっくり飲むんだぞ!?」
「は、はい!気を付けます!瑞希お兄ちゃん!」
「アルコールデビューの時も、俺が見守ってやっからな?」
「は、はい!!」
(やったー♪つまり、20歳まではお側に置いてもらえる保証許可が出たー!)
初バイクも、初ケンカも、初集会デビューも、瑞希お兄ちゃんが一緒にいてくれるなんて・・・幸せ♪
「飲ませる方向なのか、瑞希。止めるのかと思えば・・・」
「でもわかるわぁ~アルコールで酔っぱらう可愛い凛ちゃんみたいもーん♪」
「わはははは!!隙だらけだろうな、凛助!!」
「うんうん、俺らで守ってあげなきゃな~」
〔★ならば、『未成年者飲酒禁止法』の法律も守った方が良い★〕


