「『おねだりドリンク』とは、客に酒類をおごらせて、客に払わせる金を増やすことだ。ガールズバーは、キャバクラやホステスのようにおごらせるノルマがある店は少ない。凛道に名刺を渡した女が在籍する『パステルカラー』は、烈司の話だと、『おねだりドリンクの制度はある』が、従業員全員に義務化するほど徹底していない。とはいえ、おねだりドリンクが成功すれば、その分だけねだった者の利益になる。働いてる者からすれば、おごられるのは悪い話じゃない。」
「なるほど!そういうことでしたか!?」
さすが獅子島さん!
やっぱり頭がいい!!
〔★伊織の説明、凛の知識が追加された★〕
「金も物も、使うなら有効に・・・だ。好感度を与えることで、相手からの情報が引き出しやすくなる。仮に相手が飲みきれなくなった場合は、馬鹿みたいに飲む皇助共に任せればいい。覚えておけ凛道。こういう手段もある。」
「なるほどなるほど!そういうことでし・・・ん?」
納得しかけて、あれ?と思う。
「『情報が引き出しやすく』って・・・誰の情報ですか・・・!?」
「瑠華という女の情報に、決まってるだろう?」
「えっ!?」
聞き返す私に、獅子島さんはため息をつきながら言った。
「俺はお前らは酒を飲みつつ、凛道に近づく瑠華という女を見極める。良し悪しの判断のためなら、いくらでも金を落としてやる。手切れ金ぐらい立て替えてやろう。」
「ちょっと獅子島さん!?」
「ゴチになるぜぇ~伊織!」
「イオリンのおごり、無駄にはしないわぁ~♪」
「わははは!!タダ酒!タダ酒!!」
「恩に着るぜ、伊織!凛は、ソフトドリンクだけだからな!?」
「ちょっとぉー!?瑞希お兄ちゃん!みなさんも!」
なに普通に飲んで楽しむ雰囲気になってるの!?
瑠華さんを見に行くんじゃなかったの!?
(でも私としては、瑠華さんに絡まないでいてくれた方が良いから、この飲み会みたいな流れは助かるんじゃない!?)
そう思って安心したが、しょせんそれは束の間だった。