私の好きな人はオオカミでした。

「ちょっとー！それ言っちゃだめでしょー？」

そんな言葉を発しながらけらけら笑う唯奈を見て、その言葉が心配からの本心ではないと改めて感じた。

つまり、食事会という名の出会いの場を作ってそこでの引き立て役が欲しいと。

そしてその役に私が選ばれたと。

「ね、いいでしょ、お願い。」

唯奈が口元で両手を合わせながら言う。

とても可愛い仕草だった。

きっとこうやって沢山の男子を虜にしてきたんだろうなとふと考える。

正直興味がないし、行きたいと思わない。

だが、あいにく私には断る勇気も持ち合わせていない。

「…えっと、わかり、ました…。」

こうしてこの日の夜に食事会とやらに参加することになった。