「あの……すみませんでした。
ご迷惑をお掛けしまして……」

なんて恥ずかしいことだろうか。
自分で気絶して介抱してもらっておきながら
疑うなんて失礼にもほどがある。

「まぁ、いいのだけどさ。なかなか
居ないから驚いたよ!
まさか俺の目の前で気絶する子が居るなんて。
ファンの子かと思ったけど……違うの?」

「ち、違います。あ、いや。
確かに出演ドラマは、好きで観たことが
ありますしカッコいいとは、思いますけど……」

慌てて否定するも言っていることは、無茶苦茶だ。
何を言いたいんだ……自分は。
でも、ファンと言われたら微妙だし。
すると神野飛鳥は、アハハッと笑い出した。

「アハハッ……いいね。本人を目の前にして
素直に言っちゃう子。
君……名前は、何て言うの?年は?」

えっ……名前!?

「私は、小野木涼花です。23歳ですが……」

「へぇ~じゃあ年上だ。俺、21歳だし」

神野さんは、そう言うと私に近付いてきた。えっ?
驚いていると神野飛鳥は、ドサッと私を押し倒してきた。
驚いたが心臓がドキッと大きく高鳴った。

「あ、あの……離して下さい」

私は、慌てて逃げようとした。
しかし、ガッチリと押さえつけられてビクともしない。
ちょっと力が強い……。

「何で逃げるのさ?俺は、君に興味を持ったよ。
今まで居ないタイプの子だ。
ねぇ……せっかくなんだし俺と今夜一緒に
過ごさないか?」

な、何を言い出すの……この人!?
本来なら人気イケメン俳優にそんなことを言われたら
ときめくだろう。しかし私の好きなのは先生だ。

「わ、私は、遠慮します。
そういうことは、好きな人だけにして下さい」