「睦月君?どうしたのかな?ぺん太君だよ~」

無表情でジッと見つめる睦月君だった。
は、反応がない……。
ぺん太君も必死に手を振ったりジャンプしたり
アピールをしてくれるのだがまったく反応を示さなかった。

睦月君…せめて何か反応するか笑ってあげて
必死なぺん太君が可哀想だ。
子供なら皆こういう着ぐるみが好きだと思っていたけど
睦月君は、あまり好きではないのだろうか?
すると睦月君がボソッと
「……その中……暑くない?」と聞いてきた。

えっ……?
思わない質問に一瞬ペン太君まで固まった。
む、睦月君……。
今は、そんな気遣いはいいから!?

もしかして着ぐるみの中身を知ってるの?
あ、ありえる。勘のいい睦月君だし……。
どうやって切り抜けるか考えていたら先生が呆れながら

「おい。お前ら写真を撮らなくてもいいのか?」

絶妙なフォローをしてくれた。
た、助かった…。
そのお陰で写真の方で話が誤魔化せれるわ。

「そ、そうですね。じゃあ、写真でも
撮ってもらおうかな?
ペン太君も一緒にお願いします」

何とか場を和ませるように言う。
スタッフさんに頼み睦月君を抱っこしたまま横に並んだ。
しかし先生は、スタッフさんの後ろに腕を組みながら
見てるだけで入ろうともしなかった。あれ……?

「先生は、入らないのですか?
せっかくなら一緒に撮りませんか?」

先生とも一緒に撮りたい。だが、
「はぁ?何で俺がそんな変な物体と一緒に
撮らないといけねぇーんだよ?俺は、撮らん」と
バッサリと否定してきた。

せ、先生……!?
結局、先生抜きで写真を撮ってもらったが
ぺん太君は、ショックを受けたのか
しょんと落ち込みながら行ってしまった。
スタッフさんが必死に励ましていたけど
なんだか申し訳ない事をしてしまった……。

「……あの中身の人。大丈夫かな?」

睦月君は、心配そうに言う。
睦月君……やっぱり、気づいている。
彼の気遣いが、また申し訳ない気持ちになった。
ごめんね……ペン太君。

「おい行くぞ。まず何処に行くんだ?」