そう思いながら中に入ろうとしたら
睦月君が靴を見ながら
「これ、パパの靴ではないよ!」と言ってきた。

えっ……?パパの靴ではない?

「リビングに居るのは、他人の人だよ。
パパの靴ではないもん」

えぇっ!?先生の靴ではないってことは、
じゃあ、これは誰の靴なの?
ど、どうしよう。警察を呼んだ方がいい?
もしかしたら泥棒かしら……。

先生に連絡をして早めに来てもらうべきだろうか。
頭の中がパニックになる。すると睦月君は、
さっさと靴を脱ぐとリビングの方に向かって行く。

「ちょっ……睦月君!?危ないから、入ったらダメよ」

慌てて止めようとした。
だが睦月君は、構わずにどんどんと入って行く。
とにかく睦月君を守らなくちゃあ!!
私は、近くにあった傘を持つ。

「睦月君。ダメだってば!!」

慌てて上がるとドアの前で止めた。
するとドアが開きぬっと現れた知らない男性の姿に
驚いて思わず悲鳴をあげる。しばらくして
連絡を聞いた先生が慌てて自宅に帰ってきた。

「よう、久しぶり。藤崎」

「ようじゃねぇーよ!?何でお前が
連絡なしに無断で家の中に入って来ているんだ?」

「久しぶりに日本から戻って来て会いに
行ったら誰も居ないし。
だから、驚かしてやろうと合鍵を使い入った」

アハハッと笑い出す謎の男性。
どうやら、先生の親友?らしい。
笑い事ではない気がするのだが…?
こちらは、泥棒かと思い怖かったのに…。

「アハハッじゃねーよ!?帰って来るのは、勝手だが
人の家を合鍵使って勝手に入ってくるな。
相変わらずだな。お前は…」