取り合う気にはなれないが、こういうありえない結論に至ることに呆れ怒りを感じるのは当たり前。
泣いて謝らない限り許してなんかやらない。
「そこまで言っておきながら、別の女探さないで待つなんて、あんたの方が馬鹿よ」
カバンで頭を思いっきり殴られる。
寝不足の頭がグラグラ揺れながら、自分が馬鹿なことぐらいわかってると誰にもなく呟いた。
そう、俺は馬鹿だ。
そんなことは水野を好きになった時点で、承知済み。
水野にのめり込むたびに、自分が水野馬鹿になっていくのもわかっている。
だが、あれだけの暴言を吐かれたのだ、そう簡単に許さない。
惚れているからこそ許せない。
謝ってくるまで絶対許してやらない。
そう、絶対に許してなんかやらない。
それなのに、その週が終わり。
その次の週も終わり。
次の週の金曜日。
次の火曜日は俺の誕生日という日までになっていた。
本来なら、平日祝えない誕生日を今日あたりに祝ってくれているであろう日。
俺は水野のアパートの前にいた。
そうだ。
謝りたいけど、勇気が出なくて家でウジウジしているはずだ。
ここは俺が懐のでかさを見せてやろう。
別れたいなんて言ってごめんなさいと、泣きついてきたらしっかり受け止めてやろう。
それこそが男の器だ。