「飲みに行くわよ。安心しなさい。奢ってあげるから。飲みたいんでしょ?」



 とりあえず、水野が考えをまとめるまでは酒で憂さを晴らすしかない。


 奢りなら、たくさん飲めるしと俺はそのまま付き従った。














「ね。もしかして、榊田は彼女のこと愛してんの?」



 ジョッキを一気飲みし、おやじのように息を吐き出してから宮野は俺に問うた。



「当たり前だ。どうして好きでもない女と付き合って、結婚しようと思うんだ?」



「おいおい。お前の性格と今までの話だと便利で従順だから結婚するのかと俺たちは思ってたぞ」



「勝手に勘違いしただけでしょ?」



「敢えて勘違いさせたの間違いでしょ?で、断られたわけね」



「………………」



 あの俺の態度を見れば一目瞭然か、俺としたことが感情を露わにするなんて愚かなことを。



「話してみなさいよ。あんたよりは人生経験長いし、良いアドバイスがしてあげられるかもよ」



 今日の宮野はいつもの宮野と違って頼りになりそうだ。


 これが俺の求めていた理想の先輩というやつか、仕事の場面で見たかったが今は溺れる者藁をも掴むだ。