「この際だから言わせてもらうけど、小春が私たちと出かけるのも本当は嫌でしょ?そういうのかなりウザいのよ。いつもいつも」



 小春じゃなくて私がね、と俺を睨み付ける上原の肩にやんわりと手を置き、控えめながら、同じような破壊力で瀬戸は追い打ちをかけてくる。



「ただ遊びに行くとかなら、そうでもないけど、オールとか旅行ってなると、あからさまに機嫌悪くなってるよ、榊田君」



「結局、あんたって小春を手元に置いておきたいけど、嫌われないように必死に我慢してるだけ。まぁ、態度に出てるけどさ」



「……………………」



 何も言い返すことができなかったのは図星だったから。


 今まで考えもしなかったが、二人が話す俺は俺自身そのものだった。


 重たい男だから、結婚を躊躇されたのだろうか?


 俺のことを鬱陶しく感じる仕草など見せたことがないのに。



「二人ともそこまでにしてやってよ。俊、気にすることないぞ。小春ちゃんは、そういう風に気にかけてくれるのが嬉しいタイプだから」



「まぁね、束縛されてるのを小春は愛情の一種として結構、喜んでるけど。でもね、榊田。愛情の重さを感じてないわけじゃない。そこんと勘違いしない」



 広也は苦笑しながら、もうやめろと言うように首を横に振った。



「俊、今日が休日最終日、小春ちゃんのとこに行って来いよ。諦めなかったから小春ちゃんと付き合えたんだし、今回も」



 何だかんだで、俺の味方になってくれる広也はありがたい友人で、俺の良きアドバイザー。


 ヤケ食いなどしている暇はない、このまま水野に会いに行こう。


 でも、その前に腹ごしらえをとメニュー表を食い入るように見た。