しばらく、広也は吟味するように腕を組み、それからぽつりと呟いた。



「……何というか、小春ちゃんは罪作りだね。これだけ愛されて、俊を溺れさせておいて」



「あんたみたいな重たい男と結婚なんて、小春もごめんだと思ったのよ」



「上原。てめぇ、好き勝手言いやがって。俺は、水野を束縛なんてしてない」



 重たい男だと思われたくなかったから、そこは注意に注意を重ねてきた。



「いつも小春にひっついてるくせに」



「どこがだ?実際に、広也と二人で会ってることを咎めたことなんて一度もないぞ。俺は寛大だ」



「そういうことじゃない。見ているこっちが重苦しくなるのよね、あんたの小春に対する愛情って」



「常に小春ちゃんを気にかけていて、小春ちゃんのことなら何でも知っていたい、っていうのが伝わるの」



「…………それが、そんなに重いものか?」



 水野のことを知れば、それだけされて嫌なことだとか、好きなものが見えてくるし、円滑な交際ができると思っていたが違うのだろうか。


 それに、水野のやりたいことを制限したりはしないでいた。


 たとえ、気に入らないことでも。


 仕事に夢中な時だって、それに文句など言ったりせずに支えている。